[I-P02-4-01] 右室低形成,機能的肺動脈弁閉鎖に対してBDG後、PR、TRによるdesaturationを来しMPA ligationを施行した一例
Keywords:右室低形成, Glenn手術, circular shunt
【症例】在胎25週時にPR、TRによるcircular shuntによる胎児水腫がみられていた。その後、拡張したRVは縮小しPR、TRは減少、胎児水腫は改善し、38週1日に自然経膣分娩で出生した。出生後のエコーで右室は低形成、肺動脈弁の順行性血流は確認できず機能的閉鎖と診断した。PGE1投与を開始しPDAを維持していたが、徐々にhigh flow傾向となったため、Day 26で右BT shunt+PDA結紮術を施行した。この時点でRVp/LVp<0.5であった。RVEDVが43% of Nと小さく、二心室修復やone and a half repairは難しいと判断し、単心室修復の方針となった。その後、生後6ヶ月でBDG+三尖弁形成術+ASD拡大術を施行した。手術は順調に終了し、術後SpO2 85%前後のやや低い程度で経過していたが、経時的な改善がみられずむしろ覚醒で70%台に低下することがあり、コントラストエコー施行したところ、PR、TRを原因としたRV→RA→LA→LVの血流による右左シャントが生じていると判断した。POD 5にoff pump下にMPA ligationを施行した。SpO2は80後半-90%台で安定し、術後経過も順調で、現在TCPC待機中である。【結語】今回、胎児期にPR、TRによるcircular shuntを生じていたものの生下時までに改善し、出生後の診断で肺動脈弁も機能的閉鎖と考えられたため、肺動脈弁には介入せずBDGを行ったが、術後にPR、TRによるdesaturationを生じた右室低形成に対して、MPA を閉鎖することによる良好な経過を得られた。胎児期に高度なPRがあった症例では生下時に消失していても再度circular shuntを生じる可能性があり,治療方針の決定に際しては留意する必要がある。