[I-P02-4-03] 当院における右肺動脈大動脈起始症の治療経験
Keywords:右肺動脈大動脈起始症, 肺動脈再建, 肺高血圧症
【背景】右肺動脈大動脈起始症は先天性心疾患剖検例の0.1~0.2%の発生頻度である非常に稀な疾患であり経験する事が少ない。【目的】今回当院で手術加療を行った3例について, 手術術式, 周術期管理を中心に検討する事とした.【方法】当院で過去手術加療を行った右肺動脈大動脈起始症3例について, 診断時期, 術前状態, 手術時年齢・体重, 手術術式, 手術時間, 術後経過につき評価した.【結果】3例とも新生児期に診断された. 2例は新生児期に手術施行, 1例は乳児期に手術を行った. 2例はdistal type, 1例はProximal typeであった. 新生児期に手術を行った2例は, 術前にHigh flow に対しSiPAP装着下、窒素投与下に管理を行った. 乳児期に手術をした1例は生後よりPPHNと診断され一酸化窒素療法の治療歴があった. 手術は3例とも異なる術式を施行しており、一例は肺動脈大動脈直接吻合, 一例は自己心膜を用いて肺動脈形成を施行, 一例は人工血管間置を行った. 平均手術時間413.3min, 平均人工心肺時間は180.7minであった. 3例中2例は心拍動下に肺動脈再建を施行した. 3例中2例に周術期管理で一酸化窒素を使用した. 平均挿管期間は7.7日間であった. 周術期死亡は認めなかった. 遠隔期成績に関して3例中2例は術後1年未満のため評価ができていないが, 1例は術後1年に右肺動脈に対しステント, 術後6年で再手術を施行した。【考察】新生児期に手術を施行した症例は自己組織を用いた再建が可能であったが、乳児期に行った手術では人工血管を用いた再建が必要であった. また新生児期に手術を行った症例は術後に肺高血圧管理を要する傾向を認めた. いずれも例も術後経過は良好であった. 【結論】右肺動脈大動脈起始症の3例の手術経験が得られた。手術時期と遠隔期成績については今後も検討が必要と考える.