[I-P02-4-07] 単心室修復への切り替え症例からみた1.5心室修復後の血行動態の評価と変化
Keywords:one and a half repair, 心肺運動負荷試験, 心臓MRI
【背景】1.5心室修復の適応は右室容量評価によって判断されることが多い.しかし,右室容量が1.5心室修復と単心室修復との境界症例では,将来的に1.5心室修復が持続して成立するかの判断は心室容量のみでは困難である.境界例の心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖(PAIVS)に対し1.5心室修復後,遠隔期に単心室修復にきりかえした症例において成長に伴う血行動態の変化を心臓MRI(CMR)や心肺運動負荷試験(CPX)で捉えた.【症例】PAIVS の15歳男性.右室造影での右室拡張末期容積(RVEDVi)が19.1ml/BSA,三尖弁輪径のZ-scoreが-5.6,冠動脈類洞交通(SC)も認め,単心室治療の方針とし,心房中隔裂開術とBTシャントを施行した.しかし,生後4か月で SCが消失し,右室容量も増加したため,1.5心室修復へ方針を転換した.段階的な肺動脈弁バルーン拡張とRV overhaulを経て, 5歳で1.5心室修復に到達した.その後,6歳時の心臓カテーテルでは下大静脈圧;4mmHg,右室拡張末期圧;6mmHg,心係数;2.7 L/min/BSA,RVEDVi;32.7 ml/BSA,右室駆出率;58%であり自覚症状もなかった.しかし,10歳時のCMRで肺動脈拡張期順行性血流(DFF)が肺動脈弁通過血流の47%を占めており,右室内膜面にRV overhaulの影響と思われるガドリニウム遅延造影効果を認めた.さらに,13歳時の心臓カテーテルでは,下大静脈圧;12mmHg,右室拡張末期圧;11mmHgと上昇しCPXではpeak VO2;26.7ml/kg/minと低値であった.右室拡張能障害と下半身血流の増加に伴い運動耐容能は低下したものと考え,15歳時に単心室修復への切り替えを行った.術後のCPXではpeak VO2;35.6 ml/kg/minに改善した.【まとめ】1.5心室修復後は従来の評価法に加えてCMRによる血流・組織性状やCPXによる運動耐容能を含めた多角的な評価が重要で本症例のように単心室修復への切り替えの適応を決定するための一助になると考えられた.