第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

学校保健・疫学・心血管危険因子

ポスター発表(I-P02-5)
学校保健・疫学・心血管危険因子

2023年7月6日(木) 11:10 〜 12:10 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:内田 敬子(慶應義塾大学保健管理センター)

[I-P02-5-02] 冠動脈起始異常の心臓突然死イベントと上室性頻拍の関連性

連 翔太1, 鹿島田 渉1, 寺師 英子1, 倉岡 彩子1, 石川 友一1, 佐川 浩一1, 安東 勇介2, 中野 俊秀1, 山村 健一郎1, 牛ノ濱 大也1, 住友 直方3 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 心臓血管外科, 3.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

キーワード:心臓突然死, 冠動脈起始異常, 発作性上室性頻拍

【背景】冠動脈起始異常(AOCA)は,小児の突然死の原因疾患の一つであるが,稀な疾患のためその詳細は明らかになっていない.【目的】AOCAの心臓突然死イベント(SCD)と上室性頻拍(SVT)の関連性が疑われた2例を報告し,不整脈合併例での治療適応を再考する.【症例1】14歳男児.1年前から運動中に動悸を感じていた.14歳時に運動中に意識消失を繰り返し,2回目の意識消失時にby-stander CRPとAEDによる除細動が行われた.AEDの心電図記録では,心室細動への除細動後にSVTも検出された.右冠動脈が左冠動脈洞から起始し,冠動脈起始部が大動脈に圧迫されている右AOCAと診断され,当院に転院となった.転院後,右冠動脈unroofing術を行い後遺症なく退院した.術後3ヶ月後に電気生理検査(EPS)を行い,非通常型房室結節リエントリー性頻拍が誘発され,高周波心筋焼灼術を行い頻拍は誘発不能となった.術後1年を経過したが心イベントなし.【症例2】12歳女児.運動中に胸痛を訴えた後に意識消失を来した.蘇生には至らなかったが当院への搬送中に心電図モニターでSVTとST上昇を認め,その後P波が鋸歯状に変化した.搬送後の12誘導心電図で2:1房室ブロックを伴う心房粗動(AFL)と診断され同期下カルディオバージョンで頻拍は停止した.左冠動脈が右冠動脈洞から起始する左AOCAと診断し,左冠動脈unroofing手術を行い,合併症なく退院した.術後5ヶ月が経過し頻拍発作は認めていないが,SVT/AFLに対してEPSを行う予定である.【考察】上室性不整脈がAOCAによるSCDに関連した報告はほとんどない.症例1では,右AOCAは予後が良い症例もあるが,運動負荷と頻拍発作が組み合わさり冠血流低下から蘇生イベントとなった可能性が考えられた.症例2では,心筋虚血による心房性または心室性不整脈からSVTやAFLに至った,または心筋虚血による伝導特性の変化が関連した可能性が考えられた.【結論】AOCAにSVTを合併する場合,SVTが虚血のリスクとなりうる可能性がある.