第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

学校保健・疫学・心血管危険因子

ポスター発表(I-P02-5)
学校保健・疫学・心血管危険因子

2023年7月6日(木) 11:10 〜 12:10 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:内田 敬子(慶應義塾大学保健管理センター)

[I-P02-5-05] 学校心臓検診を契機に診断された房室中隔欠損の特徴と抽出上の問題点

荻野 梨恵, 中川 直美, 豊田 裕介, 岡本 健吾, 川本 祐也, 片岡 功一, 鎌田 政博 (広島市立広島市民病院 循環器小児科)

キーワード:房室中隔欠損, 学校心臓検診, 心電図異常

【緒言】房室中隔欠損では多呼吸・体重増加不良などの症状や,房室弁逆流の心雑音により幼児期までに診断がされる例が多い.しかし,症状が有意でなく経過し学校心検を契機に発見される例も散見される. 学校心検で発見される例の特徴,抽出上の問題点について考察した.【対象/方法】2012年以降,学校心検を契機に房室中隔欠損と診断した7例.男児2例,女児5例.診断学年,診断の契機,心電図/心エコー/カテーテル検査,転帰について診療録を基に後方視的に検討した.【結果】①診断時学年:小1年5例,中1年1例,高1年1例.②診断:完全型5例,不完全型2例.③診断の契機:ECG 5例(うち1例心雑音も指摘);LAD 3例,IRBBB 1例,LVH 1例,心雑音のみ2例(中1,高1).④初診時心雑音:全例聴取.⑤初診時ECG:I度AVB 2例,肺性Pなし,僧帽性P 1例,LAD 5例,RVHなし,RVH疑4例.⑥胸部X-p:CTR>0.50 4例.⑦UCG:CAVVR 1度1例,2度4例,4度2例.VSD shunt 0例.⑧カテーテル検査:Qp/Qs;1.0-3.6(med.2.0),mPAP;14-23(med.16)mmHgで>20mmHgは1例(16歳),PVRI;0.75-1.75(med.1.36).⑨NT-proBNP:27-471(med.115)pg/mL.⑩転帰:ICR 6例.Qp/Qs=1.0でCAVVR 1度の1例は介入せず観察中.【考察】心雑音は全例受診時に聴取したが小1の5例中4例は指摘がなかった.この見落としを補填する意味でも学校心検の心電図は寄与していると考えられた.一方AVSDに特徴的なLADは小1の5例に見られたが指摘は3例のみで,更に中1,高1の例はLADもなく,心電図は学校心検の抽出基準を満たさなかった.scoopingの程度が軽いことが要因と考えられるが必ずしも軽症を意味するものではない.心電図のみで完全とは言えないことが示唆され,聴診も含めた所見を総合的に判断することが重要である.