第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

学校保健・疫学・心血管危険因子

ポスター発表(I-P02-5)
学校保健・疫学・心血管危険因子

2023年7月6日(木) 11:10 〜 12:10 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:内田 敬子(慶應義塾大学保健管理センター)

[I-P02-5-06] 岐阜県西濃地域の小学校1年生心臓検診で抽出された心電図所見の有用性と疾患特異性について

倉石 建治1,2, 西原 栄起1,2, 太田 宇哉1,2, 安田 東始哲1 (1.西濃保健所管内児童心臓検診読影委員会, 2.大垣市民病院 第二小児科(小児循環器・新生児科))

キーワード:学校心臓検診, 心電図, 先天性心疾患

【背景】学校心臓検診では各心電図(ECG)所見からどの心疾患が発見されるか否か明らかでない。【目的】1次学校心臓検診の不整脈を除くECG所見と各発見心疾患からその有用性を明らかにすること。【対象】岐阜県西濃地域の小学校1年心臓検診記録で1次所見がわかる2006〜2022年までの受検者46408人。【方法】検診記録から1次ECG有所見者2335人を後方視的に検討した。【結果】既心管理者94人を除き、不整脈以外の所見が17年間でのべ1455あり、内容は右脚ブロック(RBBB)831,異常Q波184,左軸偏位(LAD)93,右室肥大(RVH)83,左室肥大(LVH)42,V3or4陰性T41,低電位差26,ST異常26, ST低下or上昇26,右軸偏位24,異常T波16,心室内伝導障害13,左房負荷12,Ⅱ.Ⅲ.aVF陰性T9,S1S2S3パターン9,左脚前枝ブロック7,時計or反時計回転4,右胸心疑3,他6だった。所見別発見疾患/数は、RBBB:心房中隔欠損(ASD)/25,左室心筋緻密化障害(LVNC)/14,動脈管開存/3,大動脈弁閉鎖不全(AR)/3,三尖弁閉鎖不全(TR)/2,他/12、異常Q:LVNC/4,僧帽弁閉鎖不全(MR)/3,ASD/1,二尖大動脈弁(BAV)/1、LAD:LVNC/3,ASD/2,AR/2,部分型房室中隔欠損(pAVSD)/1,MR/1、RVH:LVNC/1,TR /1、LVH:LVNC/1,僧帽弁逸脱/1,AR/1,肥大型心筋症(HCM)疑/1、V3or4陰性T:ASD/1,MR/1、ST異常:ASD1/,LVNC/1、ST低下or上昇:LVNC/2,HCM疑/1、左房負荷:MR/1、心室内伝導障害:BAV/1、S1S2S3:大動脈弁バルサルバ洞拡大/1、Ⅱ.Ⅲ.aVF陰性T,左脚前枝ブロック,異常T波:各ASD/1。低電位差、右軸偏位、右胸心疑、時計or反時計回転に心疾患なし。【考察】RBBBや異常Qは多いが疾患割合はLAD,LVH,ST異常,ST低下or上昇,心室内伝導障害,左房負荷の方が大だった。ASDはST-T異常やLAD、V3or4陰性T等でもみられた。LVHやSTの異常で心筋症の割合が多く、LADのみでpAVSDが見つかっている。【結論】重症度は不明だがRBBB以外も心疾患が多く発見され、所見特異的な疾患は少ないが、心エコーへの抽出基準として各ECG所見は有用である。