[I-P02-5-08] 小児心電図の疫学研究:幼児期の心電図健診実施の意義の検討
Keywords:コホート調査, 心電図検診, 小児
【背景】東北大学東北メディカル・メガバンク機構では東日本大震災の被災地域住民を対象に大規模前向きコホート調査を実施している。コホート調査参加者は約15万人、約3万人の小児を含む。小児の参加者は、4~19歳の間に3回(5、10、16歳時)、健康調査を受検する(Kobayashi T, et al. TJEM: 2023)。この健康調査で心電図読影を実施しており、異常所見が認められた場合には、本学会認定の小児循環器専門医による診療に繋げている。我々は、2021年3月の時点で約1万3千の心電図を読影、71名の心電図異常を検出、医療機関での精密検査を実施した。【目的と方法】この心電図受検者は殆どが就学前の4~5歳である。学校検診開始前の幼児期に心電図検査を健診として実施することの意義について検討するために、心電図異常を検出した71名について、医療機関での診療状況を診療録から見返した。【結果】心電図異常を指摘された71名のうち67名が宮城県内の小児循環器専門医の診療を受けた。67名の内訳は、(1)21名がコホート調査以後に定期受診を開始(WPW症候群8名、心室期外収縮9名、上室性期外収縮2名、QT延長症候群1名、2度房室ブロック1名)、(2)8名が先天性心疾患術後で既に定期受診を継続(完全/不完全右脚ブロック7名、右室肥大1名)、(3)38名は定期受診不要だった(完全右脚ブロックなど)。(1)21名のうち20名は治療などの介入をせずに経過観察中だが、1名(WPW症候群)は頻回な動悸に対してカテーテルアブレーションを受けた。【考察】本コホート調査の心電図検査により、新規21名(本コホート調査参加者の0.16%)と継続8名の心疾患を持つ小児を、学校検診開始前から医療に繋げることに貢献できたと考える。