[I-P02-5-09] 当院における心疾患合併COVID-19の入院症例の検討
Keywords:COVID-19, 先天性心疾患, 心外合併症
【背景】当院は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の小児入院医療施設であり、2022年~2023年に838例の入院加療を行った。そのうち約2.7%の症例は心疾患を合併していた。【目的】心疾患を合併したCOVID-19の臨床経過を明らかにする。【方法】2022年1月1日~2023年1月31日までにCOVID-19で当院に入院した心疾患患者23例(男8例、女15例、年齢5ヶ月〜28歳、中央値2歳11ヶ月)の臨床経過を検討した。【結果】軽症(呼吸器症状なし、または咳のみ)7例、中等症Ⅰ(肺炎で呼吸困難あり)3例、中等症Ⅱ(肺炎で酸素投与が必要)7例、重症6例(ICU入室または人工呼吸管理)であった。心疾患の内訳は、複雑型先天性心疾患(CHD)13例(うちFontan型手術後6例)、単純型CHD7例、拡張型心筋症2例、心臓移植後1例であった。染色体異常8例、横隔膜ヘルニア1例の合併があった。23例中3例で心不全悪化を認め、5例はCOVID-19ワクチンの接種歴があった。23例中14例(軽症1例、中等症8例、重症5例)で、入院後からレムデシビル静注を3〜5日間行い、うち6例でプレドニゾロン静注、抗菌薬などを併用し、13例は悪化することなく軽快した。Fontan型手術後6例中4例は軽症で、レムデシビルを投与せず軽快した。重症例のうち2例で気管挿管を要し、横隔膜ヘルニアを合併した1例では発症早期に診断したが急激に悪化し、多臓器不全のため死亡した。【考察】心疾患を合併したCOVID-19感染の臨床経過は多様で、複雑型CHDで経過良好な症例も認められた。中等症例に対して、早期に抗ウイルス療法を行うことで重症化を抑制した可能性が示唆された。