[I-P03-1-01] 静脈-静脈方式体外式膜型人工肺の送血管により乳児期早期に弁穿孔を来した単心室の1例
キーワード:extracorporeal membrane oxygenation, valve perforation, single ventricle
【背景】新生児心臓手術後のExtracorporeal membrane oxygenation (ECMO)の適応は、急性循環不全・急性呼吸不全であり、静脈-動脈方式ECMO(VA ECMO)が用いられることが多い。心機能が十分な場合、静脈-静脈方式ECMO(VV ECMO)を行う選択肢があるが、稀である。今回、新生児のVV ECMO中、送血管により弁穿孔を来した症例を経験したため報告する。【症例】日齢40の女児。在胎38週1日、体重3146gで出生し完全房室中隔欠損症、大動脈弁下狭窄、大動脈弓低形成と診断された。日齢3に両側肺動脈絞扼術施行、日齢26にNorwood手術施行された。術後低酸素を認め、VA ECMO導入して帰室した。心機能改善し、日齢28と日齢30にECMOの離脱を試みたが低酸素のため離脱できず、血圧は保てていたため、日齢30にVV ECMOに変更された。日齢34に肺動脈に対し経皮的バルーン拡張術・ステント留置術を施行され、日齢35に高肺血流のためVA ECMOにコンバージョンされた。同日に経胸壁心臓超音波検査で重症房室弁逆流を検出、日齢38に経心膜心臓超音波検査で共通房室弁腹の穿孔と診断された。日齢40に弁形成術施行された。【考察】ECMOの送脱血管による合併症の報告は少ないが、本症例では小さな右房への送脱血管の2本の挿入により弁穿孔を来したと考える。新生児や乳児期早期の症例ではECMO送脱血管の位置確認のための慎重な画像評価が必要であろう。