第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

集中治療

ポスター発表(I-P03-1)
集中治療1

2023年7月6日(木) 13:30 〜 14:20 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:沼野 藤人(新潟大学医歯学総合病院 小児科)

[I-P03-1-04] 小児開心術術後におけるトルバプタンの有効性と安全性

立木 里緒, 加藤 秀之 (筑波大学附属病院 心臓血管外科)

キーワード:トルバプタン, 小児開心術, 体液管理

小児開心術術後におけるトルバプタンの有効性と安全性筑波大学附属病院心臓血管外科立木里緒、加藤秀之、松原宗明、丸尾和司、平松裕司【背景】開心術後の体液管理は術後の経過を左右する重要な因子だが、フロセミドは電解質異常や不十分な利尿効果が問題となることがある。作用機序の異なるトルバプタンは成人症例において有効性が報告されているが、小児心臓手術症例において有効性、安全性を評価した研究は少ない。【目的】新生児、単心室症を含む小児開心術症例においてのトルバプタンの有効性・安全性を検討する。【方法】2021年7月から2023年3月までに当院で人工心肺を使用した6歳以下の小児開心術症例154例の患者を対象とし後方視的研究を行った。トルバプタンはフロセミド単剤で利尿効果の乏しい症例を適応とし追加投与として行った。フロセミド群132例、フロセミド+トルバプタン群22例の2群間で術後因子を傾向スコアによる逆確率重み付け解析を行った。同様に単心室症の患者61例に対してもフロセミド群、フロセミド+トルバプタン群に分け2群間で術後因子の解析を行った。【結果】術後の多くの項目で2群間で有意差は認められなかった。術後Cre、電解質も2群間で有意差を認めなかった。ECMO、腹膜透析、死亡の発生はT群で認められなった。単心室症の比較でもトルバプタン群で尿量増加傾向を認めるほか同様の結果が得られた。【考察】トルバプタンを追加投与したにもかかわらず術後の多くの項目において、2群間で有意差は認められず、目的とする利尿効果を得られた可能性が示唆された。術後の腎機能、電解質にも優位な変化を与えず、有害事象の発生率もT群で低いことが認められ、単心室症を含む小児心臓手術症例においても安全にトルバプタンを投与することができる可能性が示された。