[I-P03-2-01] 完全房室ブロックでリードレスペースメーカーを留置した14歳女子
キーワード:徐脈、意識消失, 完全房室ブロック, リードレスペースメーカー
【症例】14歳女子、身長153 cm。中学1年時の心電図は正常だった。授業中に突然数秒の意識消失があり高度徐脈を認めヘリ搬送された。入院時は顔色不良で心拍数30回/分で血圧測定不能だったが、安静下で意識は保たれていた。心電図は完全房室ブロック(CAVB)で、心エコーは房室弁逆流はなく左室壁運動も良好だった。ペーシングカテで心拍数80/回とし、速やかに顔色不良は改善し血圧も維持された。血液検査で炎症所見はなく、CK 36 U/L、BNP 23 pg/mlだった。CAVBは改善せずリードレスペースメーカ(Medtronic, Micra AV)を右室中隔に留置した。術後経過は問題なかった。【考案】本例は回復のないCAVBで極端な徐脈と識消失がありペースメーカ(PM)管理の適応だった。CABVでは外科や経静脈的に留置するDDD管理が行われるが、リードレスPMも使用されている。PMの外科的留置は侵襲や術創の問題があり、経静脈留置は感染や静脈閉塞などの問題がある。リードレスPMは感染リスクも少なく、PM本体留置部の美観上の利点は思春期の女子にとっては特に大きい。構造的にはVVIモードであるが、房室同期ペーシング機能も開発・追加されている。本例はまずリードレスを選択し、成人後にまた次の方策を検討する方針とした。【結語】小児のPM留置は長期的な経過も考慮し、患者の体格や状況・希望に併せて適切な選択を行うために、最新の情報を基に検討することが重要である。適切な助言とPM留置を施行くださった桶谷直也医師に感謝します。