[I-P03-2-02] 小児期に発見された器質的心疾患を伴わない完全房室ブロック症例の臨床的検討
Keywords:完全房室ブロック, 小児, ペースメーカー
【背景】胎児期に気づかれる完全房室ブロック(CAVB)症例は重症であり、生後早期にペースメーカー治療を要することが多い。一方、小児期に発見される器質的心疾患のないCAVB症例のまとまった報告は少なく、臨床経過や中長期的予後はよく分かっていない。【目的】小児期に発見されたCAVB症例の臨床像を明らかにすること。【対象】1994年から2022年までに当院を受診し経過観察を行った乳児期以降に発見されたCAVB 9例。【方法】診断時年齢、診断契機、追跡期間、主な所見、経過中の症状、治療の有無を診療録から後方視的に検討した。【結果】診断時年齢4か月‐12歳(中央値6歳)。診断契機は学校検診5例、乳幼児健診2例、感染症罹患医療時の医療機関受診2例。追跡期間2年-26年(中央値8年)。運動負荷で4例は心室拍数の増加不良あり。母体抗SS-A抗体は調べた3例で陰性。経過中の症状は立ちくらみ2例、易疲労感1例、発育遅延・易感染性1例、経時的BNP上昇2例であった。ペースメーカー植え込みは2例で行われ、初診時からの期間は3か月と1年9か月、その適応理由は易疲労感・経時的BNP上昇、発育遅延・易感染性であった。【結語】小児期に発見されるCAVB症例の多くは徐脈を契機に診断されるが、発症時期は不明である。中期的に症状の進行がなければペースメーカー回避の可能性は高いと思われるが、長期の経過観察が必要である。