第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

電気生理学・不整脈

ポスター発表(I-P03-2)
電気生理学・不整脈1

2023年7月6日(木) 13:30 〜 14:30 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:鈴木 嗣敏(大阪市立総合医療センター)

[I-P03-2-06] 小児甲状腺機能亢進症と補正QT時間との関連性の検討

鹿島田 渉, 連 翔太, 田尾 克生, 佐藤 正規, 鈴木 彩代, 倉岡 彩子, 山村 健一郎, 石川 友一, 佐川 浩一 (福岡市立こども病院 循環器科)

キーワード:甲状腺機能亢進症, QT延長症候群, 甲状腺ホルモン

【背景】二次性QT延長症候群と甲状腺機能低下症の関連は有名だが,甲状腺機能亢進症(Ht)患者との関連も少数ながら報告されている. 成人領域では甲状腺ホルモン(TH)とQT延長との関連を示唆する結果が散見されるが,その機序は明確ではなく,さらに小児の報告は限られ, 甲状腺関連の抗体との関連性の報告も少ない.【目的】Ht患児における補正QT時間(QTcB:Bazette法, QTcF:Friderichia法)とTHおよび関連抗体との相関を明らかにする.【対象と方法】2015〜2022年に当院でHtと診断された児を対象とし診療録より後方的に検討した. 治療前の12誘導心電図から接線法でQTcを計測した.QTcとTH(fT3,fT4), 甲状腺刺激ホルモン(TSH), 抗サイログロブリン抗体(TgAb), TSHレセプター抗体(TRAb), 抗甲状腺ペルオキシターゼ抗体(TPOAb),甲状腺刺激抗体(TSAb)との相関についてSpearmanの順位相関係数を用いて検定した(有意水準は0.05未満).【結果】対象は27名(女23名)で,年齢は中央値11(以下四分位範囲 10-13.5)歳であった. 心拍数は109(103-120)回/分,QTc(B/F)は410(392-429)/371(360-388)msであった.1例は学校検診の抽出基準に達した. 甲状腺に関する各検査項目においては,fT3 20.0(13.0-20.0)pg/mL, fT4 3.3(2.7-3.8)ng/dL, fT3/fT4 5.0(4.0-6.1), TgAb 149.0(40.0-461.0)IU/mL, TRAb 16.6(8.3-22.6)IU/L, TPOAb 143.0(30.0-455.0)IU/mL, TSAb 933(595-1832)%であった.QTc(B/F)との相関係数(r)は,fT3/fT4 r=0.23/0.10, TPOAb r=0.22/0.20, TSAb r=0.27/0.18で, 若干の相関を認めたが, 統計学的有意差はなかった.【考察】THや各種検査項目とQTcと有意な関連性はなかったが, 甲状腺疾患はイオンチャネルなどの転写調節との関連が報告されており,甲状腺機能とQTcの間に複数因子が介在する可能性が示唆された.本研究の限界は,症例数が少なかったこと,各種検査項目の上下限以上の値は正確に示されなかったことなどが考えられる.