第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

電気生理学・不整脈

ポスター発表(I-P03-2)
電気生理学・不整脈1

2023年7月6日(木) 13:30 〜 14:30 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:鈴木 嗣敏(大阪市立総合医療センター)

[I-P03-2-07] カテコラミン誘発多形性心室頻拍症の一家系における発端者兄弟の子についての検討

佐藤 純一1, 斉藤 裕子1,2, 河内 遼1 (1.船橋市立医療センター 小児科, 2.君津中央病院 小児科)

キーワード:カテコラミン誘発多形性心室頻拍症, 心筋リアノジン受容体遺伝子異常, 発症前診断

【背景】カテコラミン誘発多形性心室頻拍症(CPVT)は心臓突然死を来す遺伝性不整脈であり、その原因である心筋リアノジン受容体遺伝子異常(RYR2)は、常染色体優性遺伝を来す。2017年に本学会にてCPVTの一家系について報告をした。6年が経過し、発端者兄弟の子について遺伝学的検査を行い、治療介入を行った。【症例】発端者5人兄弟のうち生存している3人の子6人について検討した。男児1人は7歳時に失神で発症、心電図異常は認めなかったが家族歴から治療を開始した。開始後に発端者と同じRYR2のバリアントが見つかり確定診断とした。他5人(男1人、女4人)は無症状である。さらに、この5人については保護者の希望があり遺伝子検索を行った。女児2人に、発端者と同じRYR2のバリアントを認めた。5人について繰り返し心電図、ホルター心電図をおこない、経過観察を行っている。バリアントの見つかった2名ではそれぞれ、5歳2か月、3歳2か月で多形性のPVCが検出され、フレカイニド内服を開始した。内服開始後PVCは検出されていない。7歳で発症した男児はβ遮断薬とフレカイニドを内服し無症状で経過している。【考案】発端者兄弟の発症年齢は11-14歳であり、10歳代に発症が多いとの既報と一致する。乳幼児期での発症は少ないとされているが、今回の症例では3歳で心電図変化を認めていた。薬物治療時期については、運動能力や服薬コンプライアンスを考慮し、心電図異常が発見された後に開始した。【結語】CPVYは致死的な不整脈であり、遺伝子検査で発見し、発作を起こす前に薬物治療や生活指導を行うことが重要である。ICDは無効との報告もあるが、発端者姉妹は怠薬などがあり、頻回にVT/VFを起こしICDの適切作動によって除細動が出来ている。今後、薬物療法開始時期やICD植え込みについて検討が必要である。