[I-P03-2-09] 当院におけるカテコラミン誘発多形性心室頻拍の臨床的検討
キーワード:リアノジン, 失神, 運動
【背景・目的】カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)は運動や情動ストレスにより致死的不整脈が誘発され、小児期に突然死を来しうる代表的疾患である。安静時心電図では診断できないため学校検診で抽出されにくく、適切な診断・管理を行う上でその臨床像を知ることは重要である。【対象・方法】当院で2001年11月から2023年1月までにCPVTと診断された12例を対象に、性別、診断時年齢、診断の契機、治療、経過等の臨床像について診療録から後方視的に検討した。【結果】症例:男性5例、女性7例。診断時年齢:3~44歳(中央値11歳)。診断の契機:心停止5例(運動関連3例、情動ストレス1例、誘因なし1例=アドレナリン投与や覚醒度上昇で多形性PVC/VT誘発)、失神3例(すべて運動関連)、学校心臓検診1例(上室性不整脈精査目的での運動負荷や疼痛刺激で多形性PVC/VT誘発)、家族内検索3例(うち2例に失神既往あり)。遺伝子診断:RyR2変異9例、検査中1例、未施行2例。家族歴:突然死1例。治療:急性期PCPS/ECMO 2例、フレカイニド単剤1例、β遮断薬(ビソプロロール)単剤1例、β遮断薬(ナドロール、ビソプロロール、カルベジロール)+フレカイニド10例。全例で運動制限され、ICD例や交感神経切除例なし。経過・予後:心停止から蘇生した5例のうち2例で低酸素性虚血性脳症を認めた。1例は前医で蘇生術中にVT/VF stormとなり劇症型心筋炎と診断され、PCPSでの阻血による下肢切断に至った。確定診断後の不整脈コントロールは良好で、遠隔期の失神1例(怠薬による)、心停止・死亡例なし。【考察・まとめ】CPVTは蘇生例の中に占める割合よりも心臓性突然死の中に占める割合が高いとされ、診断されず死に至る例も多いことが想定されてきたが、AEDの普及に伴い救命例の増加が予想される。失神例、心停止例においては運動や情動ストレスに関連する場合はもちろん、関連しない場合でもCPVTを念頭に置いて精査を進める必要がある。