[I-P03-3-01] COVID-19感染が先天性心疾患児に及ぼす影響
キーワード:CHD, COVID-19, Fontan
【背景】COVID-19の重症化リスク因子には心血管疾患が含まれるとされており、特に小児では先天性心疾患(CHD)児への影響が懸念されるが、その詳細なリスク因子は明らかでない。【目的】CHDを有する児についてCOVID-19感染による状態悪化の危険因子を検討する。【対象・方法】2019年12月~2022年11月の期間で当院にて入院治療を必要としたCHDを有するCOVID-19患者を対象に、診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】CHD合併のCOVID-19罹患者で入院治療を必要としたのは58例で、罹患時年齢0.1~37.4(中央値6.9)歳であった。手術状況は二心室修復後23例(姑息術後修復2例を含む)、Fontan候補16例(Fontan後11例、Glenn後4例、体肺動脈吻合1例)、未手術19例であった。染色体異常や多発奇形など心疾患以外の併存症を有していた症例(併存例)は40例(69%)、肺高血圧症例は10例(17%)であった。入院中に呼吸サポートを要したのは17例(29%)で、人工呼吸器 3例、High-flow nasal cannula 6例、酸素投与8例であった。このうち15人(88%)は心疾患以外の併存症を有していた。併存例とCHD単独例の比較では有意差は認めない(p=0.06)が、併存例が呼吸サポートを要する傾向があった。Fontan後症例のうち呼吸サポートを要したのは2例(18%)で二心室修復後8例(38%)と比較し有意差を認めず(p=0.42)、Fontan候補症例と二心室修復後もしくは二心室候補症例の比較、肺高血圧治療症例の有無の比較でも有意差は認めなかった(p=0.11、p=0.14)。Trisomy 18、VSD、PHを合併した1例が感染契機の心不全増悪のため死亡した。COVID-19罹患後の後遺症として、Fontan術後患者でSpO2低下1例、PLE再発1例を認めた。【結語】Fontan術後患者はCOVID-19罹患時の重症化が懸念されるが、罹患中の重症化症例は多くなかった。一方で全身疾患合併例は重症化する頻度が高く危険因子となる可能性がある。