[I-P03-3-03] 高度胆汁うっ滞型肝傷害のためファロー四徴症心内修復術後1か月で生体肝移植を行った一乳児例
キーワード:ファロー四徴症, 肝障害, 肝移植
【緒言】ファロー四徴症(TOF)に肝障害を合併する症例は少ないながら存在する。しかし、緊急肝移植のために心内修復術を急ぐ症例は稀である。今回、原因不明の肝障害を有するTOFに対して姑息術を施行後、肝障害、閉塞性黄疸が悪化し、生後4か月で心内修復術、術後1か月で生体肝移植を施行した症例を経験した。【症例】6か月男児。出生後のチアノーゼを契機に前医でTOFと診断。AST、ALTの軽度上昇、直接型優位型の黄疸を認めた。胆道閉鎖症は否定的であり、生後1か月時にTOF加療目的で当院へ転院となった。modified BTシャント造設術後から1000U/L以上のAST、ALT値、10mg/dL以上のT-Bil値などを認め肝障害の増悪が示唆された。薬剤性肝障害も疑い被疑薬中止も改善せず、開腹肝生検を実施。肝細胞の巨細胞性変化を伴う新生児肝炎所見を認めたが確定診断には至らず、胆汁うっ滞に対する支持療法を継続した。原疾患の精査を進めながら肝移植を視野に、生後4か月、体重6kgでTOFに対する心内修復術を施行。術後も肝障害は改善せず、徐々に血中アンモニア値が上昇しはじめたことから、TOF心内修復術1か月後に父をドナーとした生体肝移植を実施した。後に遺伝子検査結果から進行性家族性肝内胆汁うっ滞症Ⅱ型(PFIC-Ⅱ)と診断された。TOFとの合併報告は過去文献には無く、世界において第1症例目の報告である可能性が高い。【考察】先天性心疾患と肝疾患の合併症例はAlagille症候群などで時に経験するが、緊急肝移植のため心疾患に対する根治術を早める必要がある症例は稀である。本症例はTOF心内修復を前倒しして計画し、術後1か月の周術期早期にもかかわらず生体肝移植を施行し得た。【結語】高度胆汁うっ滞性肝障害が併存する先天性疾患術後早期に対しても多診療科の連携により肝移植が安全に施行し得る。