The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

その他

ポスター発表(I-P03-3)
その他1

Thu. Jul 6, 2023 1:30 PM - 2:20 PM ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:柴田 映道(慶應義塾大学医学部小児科/日本赤十字社足利赤十字病院小児科)

[I-P03-3-04] 新型コロナワクチン後の重篤な循環器合併症

高橋 努, 水野 風音 (済生会宇都宮病院 小児科)

Keywords:新型コロナワクチン, ワクチン接種後合併症, mRNAワクチン

【はじめに】新型コロナワクチン接種後数日のうちに、年来の循環器の基礎疾患が重篤化した2例を経験した。【症例1】29歳男性、FLNA異常症。乳児期から僧帽弁閉鎖不全、大動脈弁閉鎖不全、三尖弁閉鎖不全を認めていた。19歳時に心臓カテーテル検査を行った際、バルサルバ洞動脈瘤の合併があり、半年に1回慎重にフォローしていたが変化なかった。新型コロナワクチンの3回目接種4日後から、息切れ、咳嗽、動悸が出現し心不全急性増悪で緊急入院した。バルサルバ洞動脈瘤破裂と診断し、内科治療に不応のため破裂部の閉鎖術と三尖弁形成術を行った。術後の経過は良好である。【症例2】11歳女性。21トリソミー。日齢48に心室中隔欠損閉鎖術を行い、僧帽弁閉鎖不全が残存し利尿薬を継続していた。新型コロナワクチンの1回目接種3日後から、食事摂取低下と頻脈を認め緊急入院した。僧帽弁閉鎖不全の増悪と発作性上室性頻拍を認めた。利尿薬により心不全症状は改善し、頻拍発作は自然停止した。【考察】新型コロナワクチン接種後の合併症として知られている心筋炎と心膜炎の発症率は、感染後の心筋炎や心膜炎の発症率に比較して低く、軽症とされている。一方で、接種後死亡例の死亡までの期間は当日から7日目までに多く、重篤な合併症はより早期に起きている。本2症例の基礎疾患としての状態は10年間の定期受診では変化なく、接種後数日以内に症状が出現しているため、因果関係は明らかである。全身の組織に取り込まれたmRNAは様々な細胞でスパイク蛋白を産生し、血液に流入すると血管壁のACE2受容体と結合し、血管内皮細胞障害から血栓を生じる。また、ACE2受容体の機能障害で血圧も上昇する可能性があり、脳動脈瘤破裂やくも膜下出血の報告もある。さらに、スパイク蛋白を産生する細胞も自己免疫反応を惹起する可能性がある。これらの反応が、今回の合併症の機序として説明できる。