[I-P03-4-02] 先天性心疾患術後に施行した冠動脈領域に対する介入についての検討:評価・適応について
キーワード:先天性心疾患手術, 冠動脈病変, 合併症
【序文】先天性心疾患手術後に続発する冠動脈病変は極めて稀である。大血管スイッチに関連するものや偶発的な冠動脈損傷、Dams-Kaye-Stansel(Norwood)手術に伴うnative aorta狭窄もその一因かもしれない。治療適応決定はさらに難しく、血管径・限定された治療手技やデバイス・側副血行路発達・心筋可塑性の点からも議論が多い。今回当院で行った冠動脈への介入についての検討を行った。【対象・方法】2013年~2022年に施行した冠動脈再建術(経皮的・外科的)症例で18歳以下、先天性心疾患手術後の症例(当院・他院問わず)。先天性冠動脈婁・冠動脈起始異常症例は除外。【結果】症例数8、治療回数14(バルーン形成術10、外科的冠動脈形成術2、コイル塞栓術1、冠動脈バイパス手術1)、対象部位:左冠動脈狭窄8、右冠動脈狭窄3、DKS吻合部(native Aorta)2、左冠動脈右室流出路婁1。年齢5歳11ヶ月(3ヶ月~14歳7ヶ月、体重22.1kg(6.8~55.5kg)) 。原因手術(推定含む):大血管スイッチ術3(Jatene1、Ross2)、DKS(Norwood)3、心臓腫瘍摘出術1、ファロー四徴症根治術1。手術適応:虚血症状あり7、心機能(壁運動)低下・ポンプ失調(無症状)5、各種検査での虚血陽性判定(無症状)2。虚血診断検査:負荷心電図・心筋シンチ(安静・負荷)、心臓MRI、心臓カテーテル検査(造影、冠血流予備量比FFR)。病院死亡率12%、1・5年生存率100%・67%。【考察】術後急性期の虚血については症状の有無にかかわらず出来るだけ早い介入・解除が必要なことは間違いない。慢性期の虚血については有症状例、心機能低下・壁運動異常症例は可及的速やかな介入が望ましいだろうが、それらが無い症例は各種検査と治療の技術的可能性を総合的に考えて適応決定する必要がある。DKS手術後冠動脈還流については虚血の有無の診断・またはそれが心機能に及ぼす影響を判断することは非常に困難であり、診断的治療の側面も大きい。