[I-P03-4-06] ファロー四徴術後遠隔期における左心機能低下症例の検討
Keywords:ファロー四徴症, 術後遠隔期, 左心機能
【背景】ファロー四徴(TF)術後遠隔期において左室機能は重要な予後指標であることが明らかになっているが、左心機能低下の関連因子の検討などの詳細な報告は少ない。今回我々はTF術後長期遠隔期における左心機能低下症例について検討したので報告する。【対象・方法】TF修復術後20年以上経過した症例で、心臓超音波検査 (UCG)及び心臓CT検査で左心機能の評価を行い得た81例を対象とした (肺動脈閉鎖症例は除く)。最終検査時年齢は21-69 (中央値: 38.5)歳、男女比は40:41、修復術施行時年齢は7か月-32歳 (中央値: 2.3歳)、修復術前シャント症例は15例、シャントから心内修復までの期間は11-240 (中央値: 29か月)。最終UCGにおける左室駆出率 (LVEF)が50%以下の症例は7例 (8.6%)であり、LVEF≦50% (rEF)群とLVEF>50% (pEF)群に分け、患者背景、UCG及びCT所見を比較した。【結果】性別、検査時年齢、修復時年齢、修復術後フォロー期間は両群間に有意差を認めなかったが、rEF群で心電図のQRS幅 (P=0.072)が大きい傾向にあり、不整脈既往 (P=0.014)、ペースメーカー植込み既往 (P=0.011)で有意差を認めた。また、左室拡張末期径 (LVDd) (P=0.0009)、mild以上の大動脈弁閉鎖不全 (AR)の既往 (P=0.0076)、大動脈弁置換術の既往 (P=0.0073)で両群間に有意差を認めた。CTにおけるLVEDVIとLVESVIで有意差を認め、RVEDVIとRVESVIでは有意差は認められなかったが、LVEFとRVEFで正の相関を認めた。rEF群では全例で不整脈を認めており、3例で両心室ペーシングを要していた。また、moderate以上のARを認めAVRを施行した症例が3例あった。【まとめ】TF術後遠隔期における左心機能低下には、不整脈の既往、ペースメーカー植え込みの既往、mild以上のARの既往が関係していると考えられた。TF術後遠隔期は肺動脈弁ならびに右心機能だけでなく、不整脈の有無、大動脈弁ならびに左心機能にも注意深いフォローアップが必要である。