[I-P03-4-08] 先天性心疾患児の就学状況
キーワード:就学状況, 先天性心疾患, 遠隔期
背景先天性心疾患の治療成績は激的に改善し、大多数が学童期を迎える。以前我々は心疾患合併極低出性体重児で学習支援を選択する頻度が高いことを明らかにした。しかし、心疾患児の全体像は明らかでない。目的先天性心疾患児全体での就学状況を調査する方法対象は2010年から2016年に出生し先天性心疾患を診断され、当院で学童期まで追跡できた症例。診療録より心疾患、治療内容、学童期の学習支援の有無を調査した。また染色体奇形症候群を合併しない学習支援を要した症例群の臨床像を通常級症例と比較検討した。単純性心疾患はASD、VSD、PDA、治療を要しない弁膜症と定義した。結果学童期まで追跡できた先天性心疾患症例は453名だった。染色体奇形症候群は59名(12.8%)に見られた。外科的治療(手術・カテーテル)は273名(60.4%)で実施されていた。就学状況は通常級が351名(77.5%)、学習支援が100名(22.1%)(特殊学級38名、特別支援学校62名)、2名が不明だった。学習支援を要した頻度は、過去に報告した極低出生体重児での学習支援47%より低率だが、一般人口での学習支援3.1%より高率だった。染色体奇形症候群は全例学習支援を要したが、41名(41%)は染色体奇形症候群の合併なく学習支援を要していた(非合併例)。非合併例でのNICU入院歴は32名(78.0%)で、通常級での103名(29.3%)より高率だった。単純性心疾患は非合併例が通常級より有意に低率(20名(48.8%) vs. 255名(72.6%))で、外科的治療は非合併例で高率に実施されていた(29名(70.7%) vs. 103名(29.3%))。非合併例の学習支援選択理由は精神発達遅滞(28名)の他、難聴4名(9.8%)、発達障害10名(24.4%)などだった。まとめ先天性心疾患児では学習支援を要する症例が多く、染色体奇形症候群も高率に合併した。染色体奇形症候群を合併せず学習支援を要した症例では通常級症例と比較し新生児期発症、複雑心疾患が多く、外科的治療も多かった。