[I-P04-1-03] nasal high flow/nasal CPAPを用いた低酸素換気療法の有用性
キーワード:肺血流増加型先天性心疾患, 低酸素換気療法, nasal high flow/nasal CPAP
【背景】窒素を用いた低酸素換気療法(N2療法)は肺血管抵抗を上昇させることで肺血流の増加を抑制する。当院では高度の肺血流増加が予想される場合、診断後早期に予防的にnasal high flow(NHF)/nasal CPAP(NCPAP)でN2療法を開始している。【目的】NHF/NCPAPを用いたN2療法の有用性を明らかにする。【対象と方法】診療録より後方視的に調査、検討した。2017年1月から2022年12月に当院で術前の心不全管理としてN2療法を施行した肺血流増加型先天性心疾患の新生児20例。そのうち、無脾症・単心室で肺動脈狭窄が顕在化したためN2療法中止した1例と大動脈縮窄複合+心筋症で胎児水腫があり出生後死亡に至った1例は除外した。NHF/NCPAP使用した14例(N群)、人工呼吸器使用した4例(R群)で比較検討した。【結果】診断はN群でCoA合併心奇形 7例、HLHS(類縁疾患含む) 2例、IAA合併心奇形 2例、Truncus 1例、AP window 1例、AORPA 1例、R群でHLHS 3例、CoA合併心奇形 1例だった。在胎週数、出生体重、N2療法開始日齢、治療日数、最小FiO2および術直前のSpO2(頭部血流)、尿量、乳酸値について検討したが、N群とR群で有意差を認めなかった。N群の14例はすべて挿管せずに手術に到達した。胎児診断はN群で12例(85%)、R群で1例(25%)であり、両群で有意差を認めた(p<0.05)。R群4例の挿管理由はPGE1大量投与、呼吸原性の低酸素血症、入院時ductal shock、出生直後BASのため深鎮静であった。【考察・結語】出生後早期に非侵襲的呼吸デバイス(NHF/NCPAP)による予防的なN2療法を行うことで、人工呼吸管理を要することなく安定した状態で手術に到達できる可能性が示唆された。また、そのために胎児診断されていることが重要であると考えられた。