[I-P04-1-06] 当院での心臓術後周術期の心肺蘇生について
Keywords:先天性心疾患, 心肺蘇生法, 周術期
先天性心疾患に限らず、心臓手術周術期の心肺蘇生法については特殊性があることは否めないと考えている。しかし、心肺蘇生のガイドラインにはほとんど言及されていない。[目的] 当院における先天性心疾患周術期の心肺蘇生を振り返る。[対象・方法] 対象は、2018年1月〜2022年12月に当院で発生した先天性心疾患の周術期の蘇生症例。単施設後方視的観察研究。[結果]同期間の先天性心疾患患者の蘇生後入院、もしくは入院中の蘇生は 37件でうち周術期は23件だった。男女比は11:12で年齢中央値は0カ月(0~24カ月)、体重中央値は3kg(2.2~11.9kg)だった。蘇生事象は、手術室入室直後が1件、集中治療室入室前2件、入室中が22件、退室後に2件発生した。根治術後は11件、Norwood術後が3件でそれ以外の姑息術後が8件だった。全体の心拍再開(Return of spontaneous circulation : ROSC)は15件で、退室時転帰は死亡12件、生存11件である。アドレナリン投与は9割、カルシウムと重炭酸投与は約6割、少なめの容量負荷は7割の事象で実施されていた。eCPRは5件で、ROSCは1件のみであった。[考察]シャント術や肺動脈絞扼術等の姑息術後の蘇生事象は、ハイフローショックや徐脈等をある程度予測して行動することが重要である。胸骨正中切開で大動脈肺動脈短絡がある症例は、eCPRを念頭に置いて速やかに準備を開始すると導入までの時間が短縮され、ROSC率が上がる可能性がある。送血管や脱血管を挿入する合間に心臓マッサージを継続するのが望ましい。グレン術・フォンタン術後は、肺循環に留意するのは言うまでもない。[結論]eCPRの導入を考慮すること以外の 蘇生方法が特殊というわけではないが、血行動態の特殊性を理解しているメンバーが蘇生チーム内にいるとより速やかなROSCを得ること確率が上がる可能性がある。