[I-P04-1-08] 術後遠隔期に心停止に陥りECMOと緊急手術にて救命し得た両大血管右室起始症の成人例
Keywords:DORV, 大動脈弁閉鎖不全症, 成人先天性心疾患
【背景】両大血管右室起始症(DORV)に対する心室内血流路作成(IVR)の遠隔期の問題点として、左室流出路狭窄(LVOTS)がある。LVOTS解除例については大動脈弁逆流(AR)進行のリスクがあり、慎重な経過観察が必要である。一方で、成人先天性心疾患(ACHD)の患者数は年々増加傾向にあり、専門医療機関での術後遠隔期の病態評価が不十分となる可能性が懸念されている。【症例】DORV、subaortic VSD、53歳、男性。1歳時にIVR、10歳時に肺動脈弁狭窄解除術を受け、成人期には定期受診は中止となっていた。48歳時、感染性心内膜炎の診断で他院 循環器内科に入院し、Valsalva洞拡大とVSD加療部位による弁下狭窄、ARを指摘された。53歳時には心房細動に対して、同医でのDC施行が2回あった。いずれのタイミングでも、治療介入やACHD専門外来への紹介はなかった。その後、呼吸苦が出現したため同医でカテーテル検査を行い、AR Ⅲ〜Ⅳ度、左室拡張末期圧 34mmHg、左室内圧格差 90mmHgであり、当院 ACHD専門外来を紹介受診した。入院管理とした翌日に呼吸不全、心停止となり、ECMO導入、緊急手術(大動脈弁置換、心室中隔欠損孔拡大とLVOT再建、ペースメーカー埋め込み)となった。今回の経過は呼吸不全から心収縮の低下を来し、AR、LVOTSにより心拍出量、冠血流量の低下に至ったためと考えられた。術後17日目に退院となった。【まとめ】DORV、IVRの術後遠隔期の問題点として、LVOTS、ARがあり、治療介入の遅れから心不全の進行、心停止に至った症例を経験した。ACHDの患者数は今後も増加していくことが予想され、術後遠隔期までの慎重なフォローアップが可能な体制構築が望まれる。