[I-P04-2-01] 心房頻拍に対してイバブラジンを導入した3例の検討
Keywords:イバブラジン, 心房頻拍, アブレーション
背景:イバブラジンは心機能抑制なく脈拍を抑える治療薬として心不全症例に使用されている。近年、心房頻拍での有効性が報告されているが小児領域では十分なデータがない。目的と方法:小児心房頻拍においてイバブラジンの効果と安全性を評価する。2021年6月~2022年12月に当科で治療中の小児心房頻拍でイバブラジンを投与した3例を後方視的に検討した。結果:症例1は14歳女児。心拍数は110-120bpmであった。アテノロール、タンボコール、ソタロールに不応で心機能低下傾向となり(LVEF56%)、アブレーションを施行。洞結節近傍起源であり完全消失には至らなかった。カルベジロールを開始し心機能は改善傾向となった(LVEF61%)。イバブラジン(20mg/日まで増量)を追加投与し、夜間は洞調律が出現し、心機能は正常範囲を維持しているが心房頻拍は持続している。症例2は16歳男児。心拍数は130-150bpmであった。心機能低下(LVEF39%)し、ビソプロロール導入したが、コントロールが得られずアブレーションを施行。右心耳起源であったが、翌日には再発。アテノロールとイバブラジン(20mg/日まで増量)ではコントロールは得られず、イバブラジンをアプリンジンへ変更し洞調律へ復帰、心機能も改善傾向となった(LVEF57%)。症例3は5カ月の女児。心拍数は280bpmでありP波形から右心耳もしくは三尖弁輪起源と思われた。心機能低下は認めなかった。アテノロールでは効果不十分であり、イバブラジン(0.4mg/kg/日まで増量)を導入し、洞調律となった。いずれの症例も明らかな副作用の出現は認めなった。結語:イバブラジンは心房頻拍において有効なことがあり、比較的安全に使用でき、効果判定も短時間で可能なことから小児心房頻拍の選択肢の一つとなりうる。