[I-P04-2-03] 学校心臓検診を契機に発見された心房粗動、洞機能不全症候群の7歳男児例
キーワード:心房粗動, 洞機能不全症候群, 学校心臓検診
[はじめに] 器質的心疾患を背景に持たない心房粗動が学童期の心臓学校検診で発見されることは稀である。今回学校検診で見つかった洞不全症候群を伴った心房粗動の学童例を経験したので報告する。[症例] 7歳男児。出生後すぐに埋没陰茎を指摘されていた。4歳時に埋没陰茎に対して修復術を施行された。その際の術前心電図検査で後方視的に確認すると心房粗動を認めていた。周術期経過に問題はなかった。小学校1年生時の学校心臓検診で心電図上心房粗動を指摘された。検診心電図では心房心拍数240/分、2:1−4:1房室伝導、下壁誘導で陰性化の鋸歯状波を認め、通常型の心房粗動を呈しており、4歳時の心電図と同様であった。心臓超音波検査では、構造異常や心筋症を疑う所見はなく、心機能は良好であった。ホルター心電図でも永続的に心房粗動を認め、洞調律は確認できなかった。出生後から洞調律の確認はできておらず、少なくとも3年前から心房粗動を認めていること、心機能低下を認めないことから抗凝固療法を施行した上でカテーテルアブレーション(CA)を施行、CA施行時も心房粗動であったが、右房内のカテーテル刺激で洞停止(13sec)となった。イソプロテレノール(ISP)投与が行われ、洞調律の出現の確認をした上で、ペーシングを行いながら下大静脈三尖弁輪間狭部ライン(CTI)にCAを施行された。CA施行後のホルター心電図では、最大4−5秒程度の洞停止を認め、洞機能不全症候群と診断した。[考察とまとめ]今回の症例では発症時期は不明だが、出生後からの経過で洞調律を確認できていなかった。抗凝固した上で除細動の施行を検討したが、洞機能不全のため心停止に至る可能性もあり、当初からCAを選択することや体外式ペースメーカーの挿入ができる体制での介入が必要である。また、背景に遺伝子異常がある可能性もあり、CA後も長期的なフォローアップが必要である。