The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

電気生理学・不整脈

ポスター発表(I-P04-2)
電気生理学・不整脈2

Thu. Jul 6, 2023 2:30 PM - 3:30 PM ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:畑 忠善(藤田医科大学ばんたね病院 臨床検査科)

[I-P04-2-05] 心外導管型フォンタン手術後から多彩な不整脈を呈し,ICD留置に至った両大血管右室起始症の一例

小山 智史, 鈴木 一孝, 篠原 務 (名古屋市立大学 小児科)

Keywords:フォンタン手術後, 運動負荷, 心室性不整脈

【はじめに】フォンタン術後患者では心房性不整脈はしばしば経験されるが,心室性不整脈は比較的少ない.運動負荷試験で致死性不整脈を呈し,ICD留置を要した両大血管右室起始症,フォンタン術後症例を経験したので報告する.【症例】両大血管右室起始症,低形成左室に対して3歳時に心外導管型フォンタン手術を施行.フォンタン術直後に心室頻拍(VT)のコントロールがつかずECMO導入を要したが,その後は心室性不整脈はなし.洞機能低下に伴い,心房頻拍を繰り返すため,10歳時にペースメーカー留置.以後HR150bpm程度の房室回帰性頻拍(AVRT)を頻回に起こし,最終的にフレカイニド内服で発作頻度は減少.15歳から運動時のふらつきを自覚し,軽いランニングで数秒の失神を認めたため受診.ペースメーカーチェックでは失神時のイベント記録はなし.別のタイミングで数秒のVTはあったが,運動時ではなく,自覚症状は伴っていなかった.ペーシング率がほぼ100%であり,心拍数が一定であったため,運動時不整脈以外に心拍応答不良を考えて,レートレスポンスを追加した上で,トレッドミル負荷試験を施行.軽く駆け足をさせたところ,すぐにwide QRSに変化したため,負荷を中止した.中止後まもなくHR135bpmのVTに移行し失神.さらにtorsade de pointesとなり,除細動,アミオダロン投与を要した.状態が安定した後,ICD埋め込みと同時に三尖弁輪に対して外科的にクライオアブレーションを行った.【考察】数秒の自然回復した失神に対する精査であったが,同程度の運動で心肺蘇生を要し,想定リスクを遥かに上回った.発作時の症状が動悸のみであるAVRTと比べて,心拍数が同程度でより重度の臨床症状を呈した.原因としてVTによる心室非同期とフォンタン循環であることで著しい心拍出量の低下を招いたと推察された.【結語】フォンタン術後不整脈は運動にて想定以上の症状を来す可能性があるので注意が必要である.