[I-P04-2-07] 失神の原因精査のため植え込み型ループレコーダー留置を行った2症例
キーワード:失神, 植え込み型ループレコーダー, カテコラミン誘発多形性心室頻拍
【緒言】植え込み型ループレコーダー(implantable loop recorder; ILR)は,原因不明の失神の診断・精査に有用だが,小児での導入は依然として限定的である.今回、失神の原因精査のためILRを留置した小児2症例について報告する。【症例1】13歳女子。水泳中に意識消失しプールサイドに引き上げられた直後に意識回復し近医へ救急搬送されたが異常なし。後日同院で実施されたトレッドミル心電図(TMT)にて安静時は不整脈を認めず、運動負荷中に心室期外収縮(PVC)が多発し精査目的に当院へ紹介された。12誘導心電図でQT 452ms、QTc 430mse、TMTでHR 140bpmを超えるとPVC二段脈が多発した。ホルター心電図でもPVC 1回/日と有意な所見ないため、ILR留置を行った。ILR留置後は失神症状なく、遺伝学的検査でカテコラミン誘発性多形心室頻拍(CPVT)の診断に至り、運動制限、β遮断薬を導入しILRはモニタリング目的に継続しているが、心室頻拍などのイベントは確認されていない。【症例2】7歳男児。生来健康で心疾患の家族歴なし。運動時に2度の失神を認めたため,精査目的に当院に紹介された。前医脳波でてんかんを否定できない所見があったが、運動負荷心電図検査で心拍上昇時に心室期外収縮の増多を認めたため,運動制限を行い経過観察とした。半年後に再度労作時失神を認めたためILRを留置した。1ヶ月後,学校での運動中に失神し、約30秒で意識は回復したが近医に搬送された。その際のILRには心室頻拍から心室細動,最終的に約30秒の心停止が記録されていた。失神の原因は心原性と考え、中でもカテコラミン誘発多形心室頻拍(CPVT)を疑いβ遮断薬を開始した。その後遺伝子検査を行い確定診断に至った。現在運動制限、β遮断薬を継続し外来経過観察中である。【結語】失神の原因検索において小児であってもILRは適切に導入可能で、特に致死性不整脈を診断するためのツールとして有用と考える。