[I-P04-3-01] 新生児・乳児期に手術を施行した先天性心疾患患者における新生児・乳児消化管アレルギー合併例の検討
キーワード:新生児・乳児消化管アレルギー, 先天性心疾患, 手術
【背景】新生児・乳児消化管アレルギーは早産児や消化器疾患に合併することは知られているが、先天性心疾患との合併例の報告は少ない。【方法】2017年4月から2022年3月までの5年間に当院で乳児期までに先天性心疾患に対する手術を行った196症例に対し、後方視的に消化管アレルギーの合併の有無および、治療経過について検討をおこなった。【結果】消化管アレルギーと診断された症例は196症例中16症例(頻度8.2%)であった。心疾患はHLHSが3例、CoA complexが2例、c AVSDが2例、TOF/APVSが2例、TGA(Ⅲ)が2例、その他、TOF/PA、TAPVR(Ⅰb)、SV、VSD/PA、VSDが1例づつであった。平均在胎週数は38週5日(36週3日〜40週5日)で早産児は1例、平均出生体重2827g(2210g〜3494g)で低出生体重児は3例、性別は男10例、女6例であり、発症日は日齢11から1歳5ヶ月(中央値日齢134)と幅があり5例が手術以前の発症であった。症状は血便が最も多く(13例)、その他嘔気・嘔吐、下痢、発熱、体重増加不良などを認めた。診断的根拠はA L S T陽性14例、R A S T陽性1例、除去試験1例で、治療は12例でアミノ酸乳、4例で加水分解乳を使用した。3例が消化管疾患を合併し、遺伝子異常は5例(21trisomy3例、22q11.2欠失症候群、15番染色体部分欠失)に認められた。【考察】今回の結果は一般的な新生児・乳児消化管アレルギーの発症頻度0.21%と比べて有意に高く、先天性心疾患と消化管アレルギーとの関連が示唆された。肺血流増加型心疾患や、Blalock-Tausig手術後など腸管血流が低下する血行動態が寄与していると考えた。ただし、消化器疾患合併例や21trisomyなど消化管アレルギーを合併しやすい病態が含まれており、先天性心疾患における消化管アレルギーのリスクについてさらなる症例の蓄積が必要と考える。