[I-P04-3-02] 当院で経験した小児COVID-19関連多系統炎症性症候群の2例
Keywords:小児COVID-19関連多系統炎症性症候群, 血圧低下, 川崎病
【背景】小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C:multisystem inflammatory syndrome in children)では部分的に川崎病様症状を認める。しかし川崎病との相違点も多い。また医学的に十分検討された治療法は確立していない。【目的】川崎病との相違点、適切な治療について検討する。【方法】当科でMIS-Cと診断した2例について臨床症状・検査所見の経過を報告する。【結果】1症例目は発症7週間前にCOVID罹患歴がある8歳男児。発症時川崎病症状を5症状認めたが、比較的高年齢な発症年齢、腹痛症状、血液検査で血小板減少からMIS-Cと診断し、免疫グロブリン療法により治療した。治療開始時に血圧低下、左室収縮能低下を認め、ステロイドを併用した。その後解熱し、各種症状、検査所見の改善を認めた。ステロイドを漸減し第24病日に退院、その後罹患後6か月時点まで合併症なく経過している。2症例目は発症4週間前にCOVID罹患歴がある7歳男児。発症時、川崎病症状4症状、腹痛、血液検査で炎症反応亢進、血小板減少を認めMIS-Cと診断し、免疫グロブリン療法を開始した。治療開始翌日に解熱したが身体症状の改善に乏しく、血圧低下、心嚢水貯留を認めステロイドを併用した。その後各種症状、検査所見の改善を認めた。ステロイドを漸減し、第20病日に退院、その後心嚢水の消失を確認し、罹患後6か月時点まで合併症なく経過している。【考察】当院で経験した2症例はMIS-Cに多いと報告されている、血圧低下・腹痛などの臨床症状、血小板減少や左室収縮能低下・心嚢水などの検査所見を認めた。治療として免疫グロブリン療法に加えて、ステロイド加療を併用した。【結論】MIS-Cはショック、多臓器不全を引き起こしうる、川崎病様症状や消化器症状を特徴とする疾患といわれている。当院の症例では免疫グロブリン療法にステロイド加療を併用し有効な治療を行うことができた。