[I-P04-3-04] 先天性心疾患患者の性別の検討
Keywords:先天性心疾患, 手術件数, 性別割合
【背景】心房中隔欠損症や動脈管開存症は女に多く、大動脈弓の異常は男に多い、と先天性心疾患には疾患により性別の発生頻度に差があるとされているが、本邦の先天性心疾患の性別割合についての詳細な報告はほとんど見られず、手術患者を対象に調査した。【方法】保険診療における算定状況の内訳であるNDBオープンデータを用いた。平成26年度から令和2年度までの7年間のレセプトデータから、K手術「款別性年齢別算定回数」のファイル内の「第8款 心・脈管」のうち先天性心疾患に関係する分類コード「K562からK587」と「K554弁形成術,K555弁置換術(0~14歳)」を対象とした。分類コード内で細分化されている診療行為については、手術方法に応じてまとめ合算した。そして7年間分を男女別に合計し、男女比を算出した。さらに算定術式名から疾患名を特定できる20疾患について、男/女比を算出し、報告されている論文と比較検討した。【結果】7年間の手術算定回数の合計は58,635回で、男25,643回、女26,553回と女性の方がやや多かった。性別では、血管輪又は重複大動脈弓離断手術214回(男82.9%)、大血管転位症手術868回(男74.2%)、心房中隔欠損作成術1,482回(男65.4%)で、男が多かった。反対に女が多かったのは、三尖弁手術192回(男35.3%)、動脈管開存症手術6,977回(男39.2%)、心房中隔欠損閉鎖術13,837回(男40.4%)、総動脈幹症手術131回(男31.9%)、完全型房室中隔欠損症手術932回(男40.0%)であった。【考察】今回用いたデータはレセプトデータであり、本邦で実施されたすべての保険診療行為について知ることができる。今までに性別比について全国規模での検討はされておらず、客観的な傾向を示していると考える。【結論】本邦の先天性心疾患の性別による発生頻度が明らかになった。