第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター発表(I-P04-3)
その他2

2023年7月6日(木) 14:30 〜 15:20 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:連 翔太(福岡市立こども病院 循環器科)

[I-P04-3-07] 自閉スペクトラム症に伴う極端な偏食で心合併症を発症した2例

町原 功実, 岸 勘太, 蘆田 温子, 小田中 豊, 尾崎 智康, 芦田 明 (大阪医科薬科大学病院 小児科)

キーワード:自閉スペクトラム症, 偏食, 心不全

【はじめに】自閉スペクトラム症(ASD)に伴う極端な偏食に心合併症をきたした症例を2例経験した。【症例1】4歳女児。主訴:嘔吐、摂食不良。ASD、回避・制限性食物摂取症で当院でフォローされていた。入院5日前から経口摂取は特定のふりかけのおにぎりと麦茶と水のみになり、入院前日に経口摂取不良となり、嘔吐を認めた。受診時、四肢の浮腫が著名で、胸部X線でCTR56%、心臓超音波検査で壁運動の低下や弁膜症はなく、右室拡大と右室圧上昇(70mmHg)を認め、高心拍出性心不全と重度肺高血圧を認めた。血液検査でBNP589.2pg/mLと上昇を認め緊急入院となった。のちにビタミンB1 欠乏(10ng/mL)が判明し脚気心と診断。点滴でのビタミンB1の補充で心臓超音波検査所見は速やかに改善し、浮腫は徐々に改善した。偏食は入院中も変わらず、栄養剤投与目的に経鼻胃管留置した状態で退院。【症例2】3歳女児。主訴:発熱、呼吸障害、顔色不良。入院2日前より発熱を認め、入院当日に喘鳴が増悪し受診。気管支拡張薬吸入により呼吸器症状は改善したが、顔色不良が著明であり当院紹介となった。胸部X線でCTR60%と心拡大を認めた。血液検査でHb2.3g/dL、BNP263.8pg/mL、心臓超音波検査では明らかな壁運動の低下や弁膜症は認めず、左室拡大を認め重症貧血による高心拍出性心不全による心拡大と考えた。問診で極度の偏食で、経口摂取はほぼ牛乳のみであったことが判明した。鉄剤投与により貧血は改善し、それに伴い心拡大は改善した。偏食は入院中に徐々に改善し、栄養剤と鉄剤の内服を継続し退院。退院後に行った発達知能検査と経過からASDと診断された。【考察】ASDに伴う偏食で微量元素、ビタミン摂取不良となることは知られているが、心合併症を呈する極端な例は少ない。心合併症はいずれも高心拍出性心不全であった。ASDの児において、極端な偏食が持続する場合は心合併症のスクリーニングが必要である。