[I-P04-3-08] 先天性心疾患を合併した肝肺癒合の2例の治療経験
キーワード:横隔膜ヘルニア, 肝肺癒合, 異常短絡血管
【背景】右横隔膜ヘルニア(CDH)に肝肺癒合(HPF)を伴うことはまれである. HPFには異常短絡血管を認めることが報告されており, 加えて先天性心疾患(CHD)を合併すると血行動態の評価, 治療計画が重要となる. 経過の異なる2例のCHDを合併したHPFの症例を経験したので報告する. 【症例1】在胎39週2630g, 自然分娩で出生.日齢1に酸素化不良ありNICU入院. 精査で右CDH, HPF, 右肺低形成, 心房中隔欠損, 右肺動脈低形成, 肺高血圧, 門脈-肺静脈短絡, 体肺側副動脈を認めた. 呼吸障害が持続するため, 日齢35にCDH修復を試みたが, 癒合範囲が広く切離が困難で試験開腹で終了した. NIPPV装着下に入院管理を継続したが, 進行性の肺高血圧を認め, 右室圧>左室圧の状態が持続した. 異常短絡血管の関与を疑い, 経皮的塞栓術を予定したが, 生後5か月時にCOVID-19に感染. 翌日に急変しVA-ECMO導入したが多臓器不全で永眠された.【症例2】在胎37週2482g, 緊急帝王切開で出生. 大動脈縮窄(CoA)疑いで日齢9に搬送. 入院時動脈管はほぼ閉鎖し, 上下肢血圧差は10mmHgであった. 初期より肺うっ血所見が持続し, 精査で右CDH, HPF, 肺葉内肺分画症, CoA, 大動脈-肺静脈短絡を認めた. 日齢17以降上下肢血圧差が開大し, CoAによる左室圧負荷と異常短絡血管による左室容量負荷による心不全状態となった. 異常短絡血管の経皮的塞栓術が困難なため, 日齢37にCoA修復術を行った. 術後心不全状態は改善し生後4か月で自宅退院した. 【結語】HPFに伴う異常短絡血管の評価は, 治療方針を決定するために重要である. CHD合併例では異常短絡血管の関与により症状の進行が早く, 重症化しやすい可能性を念頭に治療を計画する必要がある.