[I-PD1-03] フォンタン適応獲得を目指した肺動脈内ステント留置とその後の再介入
キーワード:肺動脈ステント, バルーン再拡張, 外科的除去
【背景】Fontan型修復対象例ではできる限り肺動脈狭窄を解除する必要がある.ステント留置はその低侵襲性と内腔保持効果から有力な方法とされるが,体格的成長や段階的手術による再介入を常に念頭に置き治療戦略を構築すべきである.【目的および方法】Fontan型修復患者の肺動脈内ステント留置および再介入の実施状況と予後について後方視的に検討した.【対象】当院で2001年から2023年の間に肺動脈内ステント留置を行ったFontan型修復対象25例30病変. 【結果】平均追跡期間は10.0年(0.0〜21.2年)でステントの種類はLarge slot(L) 7病変,Medium slot(M) 11病変,Small slot(S) 12病変であった. この内19病変(63%)で再介入を施行した.初回再介入時Fontan未到達群はGlenn術前/術後それぞれ4/5病変でステントの種類(L/M/S)は0/2/7病変であった.肺動脈内ステント留置から初回再介入までの期間の中央値は0.8年(0.0〜6.5年)で,再介入方法はバルーン再拡張/外科的除去がそれぞれ5/4病変であった.ステントの切開,トリミング等による外科的加工症例はなかった.また,初回再介入がバルーン再拡張例のうち1例は後に外科的除去を行った.このGlenn前後再介入の8症例は1例を除きFontan手術に到達でき,死亡を含む再介入による合併症を認めなかった.一方,Fontan術後に肺動脈内ステントを留置し,その後再介入を行ったものは10病変で,ステントの種類(L/M/S)は4/4/2病変であった.その10病変に対する次の再介入までの期間の中央値は0.8年(0.3〜12.5年)で,再介入方法はバルーン再拡張/外科的除去がそれぞれ10/0病変であった.バルーン再拡張は平均2回施行され,死亡を含む合併症を認めなかった.【考察】Fontan未到達群では外科的除去も想定し,小中径ステントを積極的に治療計画に組み込んで良いものと思われる.また,Fontan到達後のステントも必要に応じてバルーン再拡張することで効果的に成長を促せる.