[I-PD1-04] 両方向性グレン手術後の肺血流左右不均衡に対しIPAS施行後、フォンタン手術に到達した症例の検討
キーワード:肺動脈内隔壁作成術, 単心室症, 肺血流左右不均衡
【背景】心機能や肺循環等によりフォンタン手術到達困難と考えられる症例に対する外科的介入の適応や至適時期等に関しては明らかではない。我々は両方向性グレン手術(BDG)後の肺血流左右不均衡に対し肺動脈内隔壁作成術(IPAS)を施行しフォンタン手術に到達した症例を経験したので報告する。【症例】症例1:2歳女児。左室型単心室症に対し1ヶ月時左BTシャント造設術、5ヶ月時BDG、左肺動脈形成術施行。術後左肺動脈閉塞を認め、肺動脈形成術施行。術後左肺動脈発育不全を認め、1歳時IPAS(3.5mm mBTS)施行。術後心臓カテーテル検査で左肺動脈床の発育を認め、PAI 276 mm2/m2、SVC=RPA 12mmHg、LPA 13mmHg、CMRで肺血流比は右:左= 42.3:57.7、肺血管抵抗は右/左=2.22/2.08U・m2でフォンタン手術適応と判断、2歳時Extracardiac TCPC施行。術後CVP 10mmHg、SpO2 99%(room air)と術後経過良好。症例2:7歳男児。HLHSに対し日齢3に両側肺動脈絞扼術、1ヶ月時Norwood手術、術後両側肺動脈狭窄に対し両側肺動脈形成術、5ヶ月時BDG、肺動脈形成術施行。術後左肺動脈発育不良を認め、2歳時IPAS(5mm mBTS)施行。術後左肺動脈床の発育を認め、心臓カテーテル検査でSVC 11mmHg、LPA/RPA 14/10mmHg、PAI 128 mm2/m2、LPAI 32mm2/m2、フォンタン手術適応と判断、4歳時Extracardiac TCPC with fenestration、左肺動脈形成術(8mmリング付きグラフト)、三尖弁形成術施行し、経過良好で退院。しかし、6歳時左肺動脈グラフト閉塞、PLEを発症し、現在外来加療中である。【まとめ】IPASは肺血流左右不均衡の症例に対する血管床の発育に有用でありフォンタン到達に寄与した症例もあったが、必ずしも期待通りの発育が得られない症例もあった。