[I-PD2-05] 胎児期発症の先天性QT延長症候群に対するデバイス治療の長期管理の問題点
キーワード:先天性QT延長症候群, 植え込み型心臓電気デバイス, 植え込み型除細動器
【背景】胎児期発症の先天性QT延長症候群(LQTS)は重症例が多く、生後早期から薬物治療に加えて植え込み型除細動器(ICD)などの植え込み型心臓電気デバイス治療(CIED)も必要となることが多い。一生涯に渡る管理が必要となり、体格や病状に合わせたデバイスの選択、またその入れ替えなどが問題となる。【方法】対象は当院でCIED導入し、長期管理している胎児期発症のLQTS 4例(中央値 12.9歳、8.4歳~16.3歳)、その経過を後方視的に検討し、管理の問題点を明らかにする。【結果】対象のLQTSの遺伝子型はLQT1が0例、LQT2が3例、LQT3が1例。胎児期に2例は2:1房室ブロックによる徐脈、2例はTdPによる頻拍を契機に診断され、妊娠中期の3例に対し母体にメキシレチン投与などの胎児治療を行った。生後より2:1房室ブロックで徐脈となった3例に対し、生後1日(0~4日)に一時的なペーシングを開始し、生後51日(1~61)に恒久的ペースメーカ植え込みを行った。3例でICD植え込みを施行し、初回はいずれも心外膜にペーシングリードを留置し、皮下ショックリードを併用した。ペーシング閾値上昇、デバイス感染があり、2例で経静脈リードを用いたシステムに移行した。LQT2の症例を含め、全例でMexiletineとβ遮断薬を含めた多剤併用の薬物治療を継続している。ICDを導入した3例ともTdP/VTに対してICD作動しているが、いずれも胃腸炎やデバイス交換の周術期の電解質異常、感染、ペーシング不全などを契機としていた。4例ともけいれん発症し、精神発達遅滞を合併している。【結論】LQT2、LQT3では徐脈に対するペーシング治療自体がTdP発症の強い抑制効果があるが、感染などを契機に再発するリスクが高いため、重症例では薬物治療に加え、ICDも含めた治療戦略が必要である。