[I-PD2-06] リード抜去を前提としてTV-ICDを留置後、成長に伴いリード抜去・再留置を行った1例
キーワード:TV-ICD, リード抜去, Vf蘇生後
【背景】本邦における12歳未満の小児に対するICD植え込み件数は少なく、植え込み方法についても定まった見解はない。S-ICDは本体が大きく、出力調整もできないことから25~30kg以上の小児が適応とされている。一方で、小児に対するTV-ICDは成長によるリードの伸展が懸念される。今回、VF survivorの7才25kgの男児に対しリード抜去を前提としてTV-ICDを植え込み、10歳時にリード抜去・再留置を行った経験について報告する。【症例】7歳男児、身長126.8cm, 体重 25.4kg。3歳時に失神歴あり。小1学校検診でLQTを指摘され、水泳禁、1年後再診となっていた。アスレチックでロープを登っていた最中に意識消失。ただちにbystander CPRが施行され、AEDでのショック2回で心拍再開。AEDの心電図解析ではVFであった。その後後遺症なく改善を認め、VF蘇生後のためICD適応と判断した。S-ICD植え込みには体格が小さいと考えられたため、成長によりリードが伸展された際にはリード入れ替えを行うことを前提として経静脈的にシングルコイルリードを留置する方針とした。また、左利きのため右鎖骨下静脈からの留置とした。ナドロール内服を併用し経過観察を行い、経過中に適切作動、不適切作動とも認めなかった。10才時、身長149.8cm, 体重40.9kgまで成長。成長に伴い胸部X線におけるリード形状の変化、リードステータスの悪化を認めた。リード抜去の方針とし、全身麻酔下に経皮的リード抜去術を施行。癒着は全体的に軽度であったが先端付近の癒着は比較的強度でありシースの変更を要した。抜去後新規リードの留置を行った。合併症等なく入れ替えは施行できた。【結語】小さい体格の小児に対するICDとして、リード抜去を前提としたTV-ICD留置も選択肢の一つとして考えられる。