第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション(I-PD2)
小児の失神、Vf 蘇生後症例から学ぶ診断と治療~デバイス治療を中心に

2023年7月6日(木) 09:00 〜 10:30 第5会場 (G302)

座長:檜垣 高史(愛媛大学地域小児・周産期学講座), 座長:鈴木 嗣敏(大阪市立総合医療センター小児不整脈科)

[I-PD2-07] 一次予防でCRTD移植を行ったHCM術後症例―日本では一次予防でのICDは普及するか?―

青木 寿明, 林田 由伽, 藤崎 拓也, 森 雅啓, 松尾 久実代, 浅田 大, 石井 陽一郎, 萱谷 太 (大阪母子医療センター 小児循環器科)

キーワード:植込型除細動器, 突然死, 一次予防

はじめに:本邦での先天性心疾患に対する一次予防での植込型除細動器移植術(ICD)は少ない。今回成人肥大型心筋症(HCM)を持つ成人に対して一次予防目的に両室ペーシング機能付き除細動器(CRTD)移植した。当科で管理するHCM、ファロー四徴症(TOF)、両大血管右室起始症(DORV)の二心室修復術後症例でのICD一次予防適応の頻度を調査した。方法:1982年から現在までに経験したHCM、TOF/DORV二心室修復術後で診療録から調査できる症例を対象とした。HCMの一次予防の適応にはESC Risk-SCD calculator (https://www.doc2do.com/hcm/webHCM.html), HCM Risk-kids (https://hcmriskkids.org)を、TOF/DORVでは2018 AHA/ACCガイドライン(NYHA class, QRS幅、非持続性心室頻拍、左室機能、右室機能、失神の既往)を使用した。結果:HCMは14例、年齢の中央値は16.5歳(1歳から37歳)。そのうち何らかの全身疾患を伴うものは13例、17歳以上6例、それ以下7例。うちICD植込みを考慮すると判断されたものはそれぞれ2例、4例であった。TOF/DORV 148例の年齢の中央値は25歳(15歳から40歳)。上記のうち3項目以上あったものは3例、うち1人は不整脈死であった。3例の疾患の内訳はTOF, PA, MAPCA2例、ダウン症、TOF, CAVC1例であった。2項目を認めたものは6例であった。結語:HCMについては高い頻度で予測ソフトでICD一次予防適応を認めた。ただヌーナン症候群など全身疾患がある場合は使用できないため、その適応評価には配慮が必要である。TOF/DOVRでも一次予防適応の可能性がある症例がわずかだが存在した。HCMのような予測ソフトはなく、何項目あれば適応とするかは個々の症例で考える必要がある。