[I-PPD1-02] 心房中隔欠損部分閉鎖で1.5心室修復を行った3例の検討
Keywords:One and a half ventricle repair, ASD, Right heart failure
【背景】1.5心室修復はグレン手術により右心室の容量負荷を軽減すると同時に肺血流への右室からの拍動流を維持する術式であるが、右心室の機能によっては心房中隔欠損を完全に閉鎖できない場合がある。その場合に心房中隔欠損を部分閉鎖して1.5心室修復を行う適応や遠隔成績は明らかではない。今回我々は心房中隔欠損部分閉鎖を併用した1.5心室修復を3症例に施行したのでその経過を報告する。【症例】症例1 PA/IVS,類洞交通あり,RV tripartite. SP shunt 術後. 類洞交通は閉鎖可能と判断され3歳時にBDG, RVOTR, 類洞交通閉鎖を施行。術前三尖弁径は11.3mm(53%ofN)のためASDは5mm開窓で閉鎖した。術後1年でASDは自然閉鎖しRAP 12mmHg, SVC 19mmHg, SpO2 90%. 術後10年でRAP 9mmHg, SVC 10mmHg, SpO2 94%. 現在30歳, NYHA Iで経過観察中. 症例2 PA/IVS,類洞交通なし, RV tripartite. BAS, SP shunt, Brock手術後. 2歳時にBDG, PV plasty施行。術前三尖弁径は16mm(80%ofN)であったが、術中所見で三尖弁前尖には乳頭筋腱索が存在せず, 中隔尖と後尖は高度低形成であり形成は不可能であったため、TSRや右心不全が懸念され径5mmのASDを閉鎖しなかった.術後1年でRAP 4mmHg, SVC 11mmHg, SpO2 90%. 術後10年でRAP 4mmHg, SVC 9mmHg, SpO2 90%. ASD閉鎖試験ではRAP 5mmHgであったが運動負荷にてSPO2が73%に低下するためASD閉鎖せず. 現在20歳, NYHA Iで経過観察中.症例3 Ebstein奇形, PS, ASD. PDA stent留置後10ヶ月時にCone手術、RVOTR, ASD閉鎖施行。術後severe TRのためre-Cone手術、ASD作成術を施行した。TRは改善したがSpO2 70%台であり1歳時にBDGを施行。ASDを4mm開窓で閉鎖した。 術後1年でRAP 8mmHg, SVC 15mmHg, SpO2 92%. 現在3歳で発達は良好であり経過観察中。【結論】ASD部分閉鎖を併用した1.5心室修復を行った3例を報告した。術後中長期の経過中に有害事象を認めなかった。