[I-PPD1-06] 当院における1.5心室修復の適応と中期・遠隔期成績
キーワード:1.5心室, 先天性心疾患, 右心不全
【目的】1.5心室修復は右室低形成や右室機能低下での2心室修復やFontan手術を回避する術として用いられることがある有用な治療戦略である。今回1.5心室修復対する適応や遠隔期成績に関し検討した。【対象】1995年4月から2022年12月に当院で1.5心室修復を行い遠隔フォローが可能であった13名を対象とした。【結果】2心室修復後に1.5心室となった症例は7例(A群,うち緊急は3例)で、予め予定で1.5心室とした症例は6例(B群)。A群の診断はPS,TS,hypoRV 2名、d-TGA 1名、Ebstein奇形 1名、その他3名。1.5心室修復時年齢中央値は40歳(3-57)で適応は全例右心不全。 修復時右室容量は 75%(53-185)、平均肺動脈圧は12mmHg(10-20)、観察期間中央値 3.6年(34日-10.5年)で再手術は1例(TVR,PVR)。遠隔期心機能はLVEF 58.5%(50-77),右室面積変化率24%(12-41),平均肺動脈圧 12(9-20)mmHg,右房圧11(5-11)mmHg, NT-proBNPは300(97-1388)pg/mlでNYHAはⅠ:2名、Ⅱ:4名、Ⅳ:1名。遠隔期に顔面浮腫を1例に認めた。B群の診断はPA/IVS 2名、PS,TS,hypoRV 1名、d-TGA 2名、Ebstein奇形 1名、1.5心室修復時年齢中央値は1.8歳(0.9-5)で適応は全例右室低形成。修復時右室容量は65%(60-75)、平均肺動脈圧は13mmHg(10-15)、観察期間中央値 8.7年(1.8-29年)で再手術は1例(TVR,RVOTR)。遠隔期心機能はLVEF 66%(44-79),右室面積変化率 38%(35-40),平均肺動脈圧12(9-18)mmHg,右房圧 6(4-18)mmHg, NT-proBNPは112(37-257)pg/mlでNYHAはⅠ:4名、Ⅱ:2名。遠隔合併症はV-Vシャント形成2名、頭痛1名。【考察】1.5心室修復手術は2心室修復不成立時や右室低形成時の有用なオプションとなりうる。両群とも遠隔期心機能は比較的保たれているものの、A群ではV-Vシャント形成や浮腫、B群では頭痛などをきたしている例も認めていた。適切な適応判断については慎重に判断していく必要があり、引き続き症例を積み重ねていき検討していきたい。