[I-PPD2-02] 小児科と内科で共闘して塞栓治療を行った冠動脈瘻症例
キーワード:冠動脈瘻, Rotablator, DES
【背景】先天性冠動脈瘻に対するカテーテル閉鎖は、デバイスや技術の発展により外科手術と同等の良好な成績を収めている。成人例でも血管塞栓治療に慣れた小児科医が行う機会も多いと考えられるが、合併症に十分留意する必要がある。【症例1、74歳女性、両側冠動脈肺動脈瘻】検診で診断され、RCA seg1、LAD seg6、seg7から3本の瘻血管を認めた。seg7からの瘻は起始直後に直径30mmの巨大瘤を形成しており、数年前から2倍以上に増大していた。seg1、seg6からの瘻を先に塞栓した。Seg7からの巨大瘤はLAD末梢と接しているためコイル充填ができず、瘤の入口部(1mm)にコイルTargetTM XL360 3mm×9cmを引っ掛けた形で留置し、LAD本幹にDES(Resolute OnyxTM 4.0×12mm、SynergyTM 3.0×16mm)を留置してコイルを冠動脈壁に圧着し固定した。抗血栓療法を行い、1年後にはステント内狭窄はなく巨大瘤は血栓化していた。【症例2、55歳女性、両側冠動脈肺動脈瘻】心雑音を契機に診断、RCA seg1、LAD seg7から2本の太い瘻があり、心筋虚血を認めた。Seg1からの瘻は細かい蛇行を繰り返しており、その手前(径4.9mm)にコイル TargetTM XXL 10mm×40cmでアンカーしようとしたが奥にコイルが流れ、蛇行部分でstackしてしまいアンラベルしてしまった。スネアやワイヤなどあらゆる方法で回収を試みたが困難であった。コイル線維が通った6Fガイディングカテ先端にRotablatorTM、burr size 1.25 mm(Boston Scientific)を進め、カテ内で18万回転を加えコイル線維を切断できた。3か月後に再治療を行い両側瘻とも塞栓できたが、術後心室細動を発症し緊急冠動脈内血栓吸引を行った。【まとめ】冠動脈瘻は多彩で塞栓治療は容易ではなく、また他部位血管への治療以上に合併症に注意が必要である。2症例を通じて、塞栓治療に精通した小児科医と、冠動脈治療に精通した内科医とで共同で治療に当たることが理想であると改めて認識した。