[I-PPD2-04] スネアカテーテルを活用したヘアピンカーブアプローチ
キーワード:カテーテル治療, ヘアピンカーブ, スネアテクニック
【背景】複雑心奇形の小児におけるカテーテル治療の際は、限られたアプローチで複雑な経路を越えて目的病変へ到達しなければならない。【症例】症例は4歳女児、体重12kg。左気管支閉鎖を合併した複雑心奇形(DORV、TAPVCⅠb)で、これまで2回のECMO治療や複数回のカテーテル治療、長期の中心静脈カテーテル留置で両大腿静脈、右内頸静脈は閉塞していた。TAPVCⅠbはSVC上部に還流しており、還流部分およびSVCに狭窄を認めたため前回手術でPV-SVC-RA経路の拡大を行い、SVC/INV血流は別ルート(Double decker)でRAに還流するようにした。また心房部分でも垂直静脈を直接開口したが閉鎖していた。今回はPV-SVC部分の再狭窄による肺うっ血の進行、SpO2低下を生じたため、同部に対するカテーテル治療を行った。【治療】アプローチは左内頸静脈のみで、INV-SVCを経由してRAで180°反転しPV方向にバルーンを挿入する必要があった。検査カテではJLカテ/マイクロカテでの挿入も非常に難渋した。1.左内頸静脈からガイディングシースParent PlusTM60(東郷メディキット)を右房内に留置し、中に湾曲の強いRC typeのParent PlusTM45を挿入した。2.右肘静脈から4Fシース/JL1カテ(テルモ)/10mm Gooseneck SnareTM(Medtronic)を右房内へ挿入した。3.Parent PlusTM45の先端をスネアで把持して右房内で180度反転させ、PV方向へ誘導した。4.ParentPlusTM45をPV方向に向けることで安定してPVにアプローチすることができ、SterlingTMバルーン10mm×2cm(Boston Scientific)で狭窄部分を拡張することができた。狭窄は4.9→8.8mmに拡張し、PV圧は20→8mmHgに減少した。SpO2は76→81%まで上昇することができた。【結語】スネアカテを用いてガイディングカテを把持し反転することで180度のヘアピンカーブを越えて有効なバルーン拡張術を行うことができた。急角度にアプローチしなければならない場合に本方法は有用と考えられる。