[I-PSY1-01] 経皮的心房中隔欠損閉鎖術におけるデバイス選択
Keywords:心房中隔欠損症, カテーテル治療, デバイス
<背景>2006年に始まった心房中隔欠損症カテーテル治療(TC-ASD)に際しては当初アボット社の閉鎖栓(ASO)のみが使用可能であったが、2016年改良型のオクルテック社の閉鎖栓(OFF)、2021年からは心穿孔が少ないと言われるゴア社の閉鎖栓(GCA)が導入された。我々の施設では10か月から84歳まで幅広い年齢/体格の患者に対してTC-ASDを施行しており、各デバイスの適応と使用結果について検討した。<方法>まず、2016年から2020年の間にTC-ASDを試行した333例についてOFF(237例)とASO(176例)を留置した2群で、対象の年齢、15kg未満の患者の割合、欠損孔最大径、バルーン閉鎖径、大動脈縁の大きさ(good, short, bold)、肺体血流比、透視時間、治療成功率、合併症を比較検討した。次に、2021年以降GCAを留置予定した35例について、その適応と留置結果について一部をASOやOFFと比較検討した。<結果>OFFではASOと比べて、身長が低い一方(130 ± 27 vs. 137 ± 23 cm, p<0.01)、欠損孔径(15.4 ± 5.0 vs.12.8 ± 4.6 mm, p<0.0001)、バルーン閉鎖径とQp/Qs(2.4 ± 0.9 vs. 2.1 ± 0.7, p<0.0001)が大きく、大動脈縁がbold (7.5 vs.0.7%)あるいはshort(64 vs. 13%)が多かった。またOFFでは欠損孔径/体重>1.0の例が有意に多く(18 vs. 3.5%, p<0.0001)、体重15kg未満の患者も多かった(11.4 vs. 2.3%, p=0.0005)。一方、成功率や透視時間に有意差は無く、合併症にも差は無かった。バルーン閉鎖径30mm未満で心房中隔のmalalignment例やbold aorta例は、GCAの適応としているが、手技習熟途中のため他の閉鎖栓に比べて留置成功率が低く、透視時間や手技時間が有意に長い。<結語>OFFは年少児の体格に対して大きな欠損孔、大動脈縁の短い欠損孔を適応として留置してきた。今後は心穿孔のリスクが高く大きくない欠損孔はGCAの対象となる。