[I-PSY2-01] 心臓カテーテル検査をゆらしてみる
キーワード:心臓カテーテル, 負荷試験, 腹部圧迫
【背景】小児の心臓カテーテル検査(CC)は、現在でもgold standardの循環動態把握法である。しかしCCのほとんどは、極端な安静時、多くは薬物投与下に行われている。安静時の計測のみでは日常活動時と乖離が大きく、血行動態異常の検出が不十分となり得る。本講演では、通常のCCに加えて行う、血行動態変化法をまとめる。【試験法】腹部圧迫試験は、心室圧測定中に用手で優しく十分に腹部圧迫を行う安全・簡便な方法である。静脈還流量・心室前負荷が増加し、心室拡張末期圧(EDP)が上昇する。安静時EDPの増加がなくとも、腹部圧迫時に著明な上昇があれば、拡張障害が示唆される。 造影剤投与後の再度の(中心静脈)圧は、これまで多くは未計測であったが、造影剤使用というCCに伴う負荷状態が既に作られており、注目に値する。バルサルバ手技は、被験者が覚醒中であれば吸呼気にていきみをさせ、全身麻酔下では高めの吸気圧を一定時間与えて行う。血圧上昇、脈圧・平均血圧減少、血圧急速低下が順次引き起こされ、簡便に負荷条件を変えられる。動脈圧・中心静脈圧の同時測定下に施行すると平均充満圧が推定できる。一過性下大静脈閉塞試験は、閉塞用バルーンカテーテルで下大静脈を数秒間、閉塞させて前負荷を減少させる。安定した負荷変化を観察でき、心エコーと組み合わせることで複数の心室圧容積(断面積)関係を構築でき、収縮末期エラスタンス(Ees)が算出できる。動脈エラスタンス(Ea)との関係から心室血管統合関係が把握できる。ドブタミン負荷試験・心房ペーシング試験はそれぞれ、β刺激あるいは心拍増加に対する予備能が評価できる。【結論】これらの評価法を適宜併用することにより、安静時CCのみでは評価しえない血行動態の把握や潜在する異常の検出につながる。心カテは“ゆらしてみる”ことが重要である。今後の課題についても併せ議論したい。