第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

会長要望シンポジウム

会長要望シンポジウム2(I-PSY2)
小児循環器領域の負荷試験revisit

2023年7月6日(木) 13:30 〜 15:00 第5会場 (G302)

座長:増谷 聡(埼玉医科大学総合医療センター小児科), 座長:松井 彦郎(東京大学医学部小児科)

[I-PSY2-02] 小児のATP負荷MR心筋造影:川崎病冠動脈障害の心筋障害の検討

鈴木 淳子1 (1.東京逓信病院 小児科, 2.山岡クリニック, 3.AIC 八重洲クリニック)

キーワード:MR ATP roading myocardial imaging , kawasaki disease, Follow up of Myocardial infarction

背景:MRI心筋造影はRI心筋シンチと比較して、放射線被爆が無く、安価で簡便で検査時間も短く、より鮮明な画像が得られるため近年、急速に成人において普及した。しかし幼小児においては仰臥安静の為の睡眠が必要で、検査手順に慣れた小児科医と検査技師が必要であり普及しにくい現状である。目的:我々は川崎病のMR冠動脈画像検査において、狭窄所見が見られた例に、引き続きATP負荷心筋造影を行い心筋虚血の有無の確認をしている。今回その有用性を例示する。対象;対象は 初回MR心筋造影が小児期3歳から15歳(中央値9歳)の43件の所見を検討した。方法:まず、Perfusion MRIはATP(0.16mg/kgx6分)を3分間静脈注入,または心拍が増加(20/分)した時点でガドリウム造影剤(0.5ml/Kg)を静脈注入し左室短軸心筋の初回循環を観察した。ATP負荷中止後約2分で脈拍の回復後、安静時造影を同様に行い、2回の画像で心筋虚血を評価した。遅延造影(LE)はその2分後と7分後に心筋病巣部位における造影剤の残留像の有無を多方向から観察した。結果:1)RIシンチ検査では描出されない小心筋梗塞巣や右心室の広範な心内膜下梗塞をLEで明瞭に描出可能であった。2)小児の経過観察において、年余を経て還流欠損域もLE域も縮小化する例が屡々見られた。3)負荷時の還流欠損が安静時に認め無い例では運動時の一過性虚血が示唆された。4)巨大瘤や連続瘤やACバイパスなどの支配領域における還流欠損は瞬時に造影剤の遅延到達がみられ有意な狭窄がないと判断された。5)心筋梗塞の心筋深度の計測が可能でACバイパス手術の適応基準判定に用いられた。結論:ATP負荷MRI心筋造影は幼小児から睡眠下で安全に完全に行える検査であり、今後の普及を期待したい。