[I-PSY2-04] 運動負荷心エコーの現況とこれから
Keywords:運動負荷心エコー, 先天性心疾患, 運動耐容能
運動負荷心エコーは、生理的な運動負荷を十分にかけた状態で安全に心機能を評価できる、重要な診断方法である。心エコーによる心機能や弁機能の評価は、安静時は正常でも運動負荷時のみ異常を示すことがある。運動耐容能は先天性心疾患の予後を最も正確に予測できる指標であり、運動負荷心エコーの測定値はこれらと相関するものが存在する。更に、心不全は運動耐容能が低下する臨床兆候と定義され、安静時心エコーで心不全評価には限界があるため、運動負荷心エコーによる心不全の評価がより有用であるとされている。以上、安静時心エコーと比較して、多くの利点がある運動負荷心エコーであるが、実施にあたって多くの克服すべき問題があり、日本の小児循環器の臨床現場ではまだ普及していない。本発表では、こらから運動負荷心エコーを行うときの参考になるように、重要な点について解説する。 初めに、運動負荷心エコーのデータを理解するための運動時の循環動態に関する基礎的知識ついて、心不全症患者の予後の層別化における運動負荷心エコーの有用性、および先天性心疾患におけるその使用意義について、関連文献を引用しながら解説する。 次に、運動負荷心エコーの方法や手順、計測項目について、「循環器超音波検査の適応と判読ガイドライン」に掲載されている内容と、ガイドラインには掲載されていないが注意すべき事項や工夫すべき事項を、我々の施設での経験を元に開設する。 更に、臨床研究の自験例として、Fallot四徴症の患者に対して行った、左室のストレイン計測を含む運動時と安静時の心エコー指標の変化とその解釈について提示する。 以上、運動負荷心エコーの現状と、将来展望について提示し、これが今後の診療の有用な参考なることを目的に発表する。