[I-SY01-02] Norwood手術における大動脈弓再建術式の検討
Keywords:Norwood, HLHS, arch reconstruction
【背景】左心低形成症候群に対する Norwood(NW)手術の成績は近年安定してきたが、術後大動脈弓(arch)再狭窄は右室機能、三尖弁機能低下を招き手術成績に影響を及ぼす。当院では従来NW時arch再建は動脈管結紮し主肺動脈分岐手前で切断し下行大動脈と吻合するConventional(C)法を行ってきたが、2019年より肺動脈(PA)をChimney法に準じ刳り貫き肺動脈後壁から下行大動脈にかけ自己心膜を補填するmodified Chimney(MC)法を行っている。【目的】C法とMC法による術後arch、PA、気道への影響を明らかにする。【方法】2006年1月から2023年1月にNW施行32例中、C法15例(C群)、MC法17例(MC群)の2群間で比較検討した。【結果】観察期間C78.7ヶ月、MC14.8ヶ月でMC 群で短かった(p=0.0004)。在胎週数(C38.4 vs MC38.3)、手術時体重(C3.7kg vs MC3.3kg)、気道疾患(C13% vs MC18%)、NW mortality(C2例(13%) vs MC1例(6%))、Arch再介入(C4(26.7%) vs MC4(23.5%))、上下肢圧差(C6.3mmHg vs MC7.8mmHg)、RVEF(C65.7% vs MC63.3%)、TR grade(C1.55 vs MC0.86)、気管支狭窄(C7% vs MC29%)、Glenn前PA index(C143 vs MC130)有意差なし。Neo AR gradeはC1.50 vs MC0.67とMC群で少なく(p=0.005)、Glenn後肺血管抵抗値C2.8wood・unit vs MC1.5 wood・unitとMC群で低値であった(p=0.014)。【結語】MC群は観察期間が短く更なる観察が必要であるが、C群に比し有意に劣るデータはなくC法同様に有用な選択肢と考える。