[I-SY02-04] Fontan型心臓の心機能低下と肺血圧の上昇
【背景と目的】心機能低下では二次性の肺高血圧を来たすことがある。Fontan型心臓では心機能低下が起こりやすく、肺血圧に影響を及ぼしやすいと予想される。Fontan型心臓の心機能低下と肺血圧上昇の関連について検討した。【対象と方法】複数の統計学的手法を用いて、Fontan型心臓を有する患者の心カテ検査結果と肺動脈圧上昇の関係を検証。時期はGlenn前(G前)、Fontan前(F前)、Fontan後(F後)。2016年~の自験例の学会発表内容をreview。【結果】F後の肺血圧上昇(上大静脈圧≥16mmHg)に、心室の収縮末期圧(SVESP)及び拡張末期圧(SVEDP)の上昇、収縮末期容積(SVESV)及び拡張末期容積(SVEDV)の上昇、肺動脈楔入圧(PCWP)の上昇が関連。多変量解析ではPCWPの関与がodds比84倍と高値。F前の肺血圧上昇にも、SVEDV、SVEDP、及びPCWPの上昇が関連。G前の肺血圧上昇(≥20mmHg)でもSVEDVとSVESVの上昇、SVEDPとPCWPの上昇が関連。多変量解析ではF前、G前いずれもPCWPのodds比が一番の高値。肺動脈Indexはどの時期も肺血圧上昇と関連がなかった。肺血圧上昇にPCWP上昇の関与が強く疑われたため、PCWP上昇に関与する因子をROC曲線を描いて調べた。PCWP上昇に有意差を持って関与したのはSVEDP、SVESP、SVEDVの3因子。SVEDP関与が一番強かった。薬物治療では、肺血圧上昇群と非上昇群で抗心不全及び肺血管拡張薬の使用がほぼ同等であった。【まとめ】Fontan型心臓の軽度の肺血圧上昇には、体血圧上昇の他、心室容積の増大、心室拡張末期容積の上昇、肺動脈楔入圧の関与が疑われた。肺血圧を下げることを目的として、first strategy後から心機能改善を積極的に行っていくことも必要ではないか。