[II-CSY04-02] 茨城県における学校BLS教育の強化~地域しっ皆教育~
キーワード:しっ皆教育, 学校BLS強化, メディカルコントロール
(背景・目的)茨城県は全症度の傷病者において、119番覚知から病院収容に要する時間が全国平均を上回っている。過去に本県は、目撃あり心原性心肺停止者の救命率が全国最下位を経験した。地域メディカルコントロール事後検証などで、バイスタンダー養成や病院前救護の向上が望まれた。対策の一つとして市町村と医療機関が、学校Basic Life Support(以下、BLS)教育の強化を始めた地域がある。今回、地域しっ皆学校BLS教育について検討し報告する(対象)2010年から2022年まで、茨城県でしっ皆学校BLS教育を実施している2市(日立市・神栖市)32校の小中学校。(結果)日立市は消防職員などが指導し、2009年から学校BLS教育を開始、翌年よりしっ皆教育に拡大した。2022年までの12年間で15校、約40回/年、18,394人の新中学1年生が受講した。しっ皆BLS教育を開始し数年後、同市内で中学時代に受講歴のある高校生が傷病者に心肺蘇生を実施した事例があった。神栖市は筑波大学連携事業、認定NPO法人などが指導し、2014年からしっ皆学校BLS教育開始、神栖市担当課が日程調整し、市立小学校7校と中学校5校、58回、4,820人の小中学生が受講した。2020年以降は新型コロナ感染拡大のため中断しているが、アンケート調査では再受講を望む声が多かった。(考察)日立市は、中間評価で教育活動実施前後の同地域における心拍再開率などに有意差を認め、しっ皆BLS教育の効果の一つと考えられた。神栖市は、行政の関与により計画的で継続した学校BLS教育が可能となり、受講した生徒の道徳教育にも寄与できると考えられた。(結語)しっ皆学校BLS教育はバイスタンダー養成強化に有効であると考えられ、行政の関与により継続的な教育活動が可能となる。将来的な地域救命率の向上につながることを期待している。