[II-CSY04-03] 横須賀市で起こった学校内心停止症例から考える学校での心肺蘇生教育の必要性
キーワード:心肺蘇生教育, 学校内心停止, 教育委員会
【はじめに】心肺停止症例は迅速な心肺蘇生が必要であることは自明である。学校内での心停止は、バイスタンダーが教師か児童や生徒であり、心肺蘇生に大切なチームダイナミクスが働き難い。横須賀市で実際に起こった学校内心肺停止症例を元に、市教育委員会がどのように考えたかを検証するとともに更に効果的な学校での心肺停止症例への対応法を考察する。【症例】7歳女児。拡張型心筋症で内服治療が行われていた。家を出る時は問題なく、朝、学校に入るなり校庭で倒れた。学校に雇用されていた救急隊OBが駆け付け心停止認識し、CPR開始。AED装着を行いショック1度で自己心拍再開後当院に搬送された。当院では蘇生後の管理を行い、神経学的後遺症なく、心移植の準備を進め、海外での移植を受けることができた。【その後の市の対応】事件の経過を検討し、学校に救急隊OBがいたことが不幸中の幸いと評価し、さらなる配置の検討に入った。しかし児童・生徒へのCPR教育は言及されなかった。【考察】心肺蘇生は、誰か一人ができれば良いというわけではない。誰もが胸骨圧迫を行えるように蘇生教育が必要である。学校では、教師がBLSのチームリーダーになり、児童生徒がチームメンバーとして心肺蘇生を行うというチームダイナミクスを構築すべきである。それを想定したシミュレーションが必要と思われる。「友達が倒れる」というパニックを、イメージトレーニングとシミュレーション教育で乗り越えなければならない。【提言】教育委員会・医師会・地域小児科センターが話し合いを行い、人の配置や予算配分の検討を進めていかなければならない。